2013 Fiscal Year Research-status Report
炭素転位反応を伴う奇異なテルペン環化酵素反応機構の解析
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24580159
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
川出 洋 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20291916)
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Keywords | ditepene / Jatropha / 次世代シーケンサ |
Research Abstract |
今年度は,供試植物の次世代シーケンサによるRNAseq(発現しているmRNAの網羅的解析)メガデータの取得と膨大な遺伝子情報からの目的遺伝子の絞り込みを行うことを中心に研究を進めた。 Jatropha curcasの茎葉部からRNA解析用サンプルを準備した。RNA抽出方法を検討し,mRNA抽出・精製に最適な試薬等の組合せを決定して高純度のRNAサンプルを調製した。外部委託による次世代シーケンサ解析を行い,3ヶ月の日程でバイオインフォマティックス解析まで進めた。 公開されているゲノムデータベースと共に次世代シーケンサの発現解析からBLAST検索をかけた予想テルペン合成酵素遺伝子として115候補を得た。ドメイン構造情報を加え,アミノ酸配列長を基準に候補遺伝子のさらに絞り込みを行った結果,53遺伝子まで絞り込んだ。この53遺伝子からさらに様々なファクターでフィルターをかけ,最終的に13遺伝子まで候補を絞り込んだ。現在,これらの遺伝子を取得すべくプライマー設計と翻訳領域の遺伝子断片の取得を行っている。 当該研究課題と関連して,生合成酵素群を用いたジテルペン化合物の合成と標識化,多次元NMRによる構造解析から,本来の基質とは異なる化合物から異常環化反応生成物の構造を決定し,その原著論文を欧州の生化学系専門雑誌に投稿をした。現在,修正原稿を作成し,再投稿の準備を進めている。次年度早々には再投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シーケンサ解析がうまく行き,遺伝子発現している網羅的なメガデータとゲノム情報を利用したin silico screeningから候補遺伝子をある程度絞り込んでこれたことが理由としてあげられる。もちろん,これらの絞り込まれた遺伝子の中に目的の遺伝子が含まれているかどうかは,当該研究チームの酵素合成法・標識化と多次元NMR測定により標品が得られない化合物でも構造を解析出来るストラテジーの本領を発揮出来るところである。 原著論文の投稿も2年目で1報をできているので,投稿中の論文を採択まで持っていくことでおおむね成果を挙げて来ていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度には,前年度までの成果を形として残したい。そのため, 1)in silicoの遺伝子絞り込みから得られた候補遺伝子の組換えタンパク質生産と酵素生成物の確認 2)酵素生成物の標識化と多次元NMR測定による構造解析 3)炭素-炭素結合の開裂と転移反応を伴う菌類新奇ジテルペン化合物に関する論文の投稿 を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次世代シーケンサの委託料金および解析料がディスカウント価格(キャンペーン価格)で申し込めたことにより,当初の予算計上より支出金額が抑制された。 酵素合成と標識体調製のために予算を使う。
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