2012 Fiscal Year Research-status Report
ペチュニア花香の多様性を制御する還元酵素の機能解析
Project/Area Number |
24580162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
肥塚 崇男 京都大学, 化学研究所, 助教 (30565106)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ペチュニア / 香気成分 / 還元酵素 |
Research Abstract |
本研究は、香気成分組成の異なるペチュニアにおいてフェニルプロパノイド系香気物質の多様性を生み出す二重結合還元反応に着目し、生合成経路の鍵酵素であるDouble bond reductase(DBR)の同定と酵素化学的解析を通して、ペチュニア香気物質の生合成系の分岐がどの段階で起こっているかを解明することを目的としており、今年度はペチュニア花弁からDBR候補遺伝子の探索を行った。既知の還元酵素ファミリーの保存領域から設計した縮重プライマーを用いてPCRを行ったところ、DBRファミリーとアミノ酸レベルで約70%の相同性を持つ300bpの部分配列を獲得した。さらに、得られた配列情報をもとにRACE-PCRを行い、1041bp、1032bp、1056bpの長さを持つ3つの全長遺伝子を単離することに成功した。これら3つの候補遺伝子(PapDBR1, PapDBR2, PapDBR3)を大腸菌発現系により組換え酵素として発現させ、アフィニティー精製により約38kDaの精製酵素を得ることができた。現在、精製酵素を用いて、分子内にα、β-不和飽和カルボニル二重結合を持つ様々な基質に対する酵素活性測定を行っている。一方で、同位体標識化合物を用いたトレーサー実験により還元反応が起こる反応段階を推定するため、重水素ラベルした標識化合物(phenylalanine, p-coumaric acid, ferulic acid)の合成も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
候補遺伝子の単離、機能解析については、植物材料の供給が順調に進んだこと、大腸菌で発現させた組換え酵素が不溶性になるトラブルなどがなかったことから当初の予定よりも進展している。一方で、同位体標識化合物を用いたトレーサー実験については、当初予定していた13Cラベル体の合成が難航したことにより重水素ラベル体の合成へと移行したため、タイムスケジュールよりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子、酵素レベルでの解析は当初の予定よりも進んでいることから、やや遅れを取っている代謝物レベルでの解析に注力するよう時間配分を考え、今後の研究遂行にあたる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰り越し金については、予定していたラベル化合物の合成を進めるため効率的な予算運用に努める予定である。
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