2013 Fiscal Year Research-status Report
ペチュニア花香の多様性を制御する還元酵素の機能解析
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24580162
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
肥塚 崇男 山口大学, 農学部, 助教 (30565106)
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Keywords | ペチュニア / 香気成分 / 還元酵素 |
Research Abstract |
本研究では、フェニルプロパノイド系香気成分の多様性を生み出す二重結合還元反応に着目し、生合成経路の鍵酵素であるdouble bond reductase (DBR)の単離と酵素化学的解析を通して、ペチュニア香気成分の生合成の分岐がどのステップで起こっているのかを明らかにすることを目的とした。今年度は、還元反応が起こる段階を推定するため、同位体標識化合物の調製およびそれらを用いたトレーサー実験の条件検討を行った。さらに、ペチュニア花弁から単離した3つのDBR候補遺伝子(PapDBR1, PapDBR2, PapDBR3)の組織特異的遺伝子発現解析も行った。 重水素ラベル化合物としてフェニルアラニン、p-クマル酸、フェルラ酸を切り花に処理する際、処理液としては5%炭酸水素ナトリウム溶液を用いると最も効率良く化合物が吸収されることがわかった。一方、候補遺伝子の遺伝子発現解析では、PapDBR2, PapDBR3が全組織(leaf, stem, tube, limb, sepal, stigma, anther)で発現しているのに対し、PapDBR1は花芽特異的(tube, limb, stigma)に発現していた。さらに、PapDBR1は開花とともにその遺伝子発現量が増加していたことから、本酵素遺伝子がペチュニア香気組成の違いに寄与していることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単離した候補酵素遺伝子の遺伝子発現解析と香気成分の蓄積放散パターンの相関から、目的の生合成酵素が獲得できたと考えられる。また、ラベル化合物を用いた生合成経路の推定はトレーサー実験の条件検討も整いつつあり、おおむね計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はGC-MS分析によりトレーサー実験を完結させ、還元反応が進むステップを明らかにするとともに、その反応ステップの前駆物質を単離した酵素と反応させ生成物の同定および反応速度論的解析を行う。一方で、形質転換により生合成酵素の発現抑制株を作出し、インビボでの生合成制御メカニズムを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
異動先で使用できる機器、試薬類が潤沢にあったため、予定よりも予算を使用せずに済んだ。 次年度は分析系の実験が増えることが予想されるため、そちらの実験に使用することを考えている。
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