2014 Fiscal Year Annual Research Report
標識化合物を用いたダニ類由来脂肪族エステルの代謝機構の解明
Project/Area Number |
24580167
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Research Institution | Kyoto Gakuen University |
Principal Investigator |
清水 伸泰 京都学園大学, バイオ環境学部, 准教授 (30434658)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生合成 / 脂肪族ギ酸エステル / コナダニ / 脂質 / 代謝機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
コナダニ類は炭化水素Z,Z-6,9-ヘプタデカジエン(6,9-C17:2)を体外に分泌する種が多いのが特徴であり、本化合物はこれまでシャクガ科やオサムシ科の特定種を除く生物からはほとんど見つかっていない。リノール酸から生合成される6,9-C17:2は、フェロモンや防御物質などの化合物群を効率的に体外に放出する溶媒としての役割以外に、フェロモンとして利用するダニ種も存在する。ササガワダニSancassania sp.から6,9-C17:2の類縁化合物として2種の脂肪族ギ酸エステルを同定し、それらの生合成機構を解明する足掛かりとして同位体標識した酢酸ナトリウムの取り込み実験を行った。NMR解析により同位体標識された炭素原子を全て帰属した結果、2種のギ酸エステルはリノール酸とオレイン酸がそれぞれ前駆体であることが判明した。さらにギ酸炭素原子と脂肪酸のカルボニル炭素が共に同位体で標識されたことから、脂肪酸が脱カルボニル化されることなく1段階で酸化的にギ酸エステルに変換されていることが強く示唆された。すなわちアルデヒドを基質としたBaeyer-Villiger酸化反応を触媒する新奇な酵素が関与していると推測した。アルデヒドをギ酸エステルに変換する酵素の報告例はない。本研究ではアルデヒドを基質としたBaeyer-Villiger酸化酵素の同定を目的として、ダニの粗酵素を用いて同位体で標識した基質の変換反応をin vitroで検討した。基質はリノール酸とオレイン酸を原料として高収率で得ることができた。粗酵素抽出液は、ダニの細胞を破砕後、高速冷却・超遠心分離機を用いて調製した。基質を用いた変換条件(補酵素、反応時間等)を検討する準備が整った。未知のBaeyer-Villiger酸化酵素が関与するギ酸エステルの生成機構解明に向けて、粗酵素抽出液を用いた変換反応を詳細に検証する。
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