2014 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧処理による牛乳アレルゲンの低アレルゲン化と経口免疫寛容の誘導
Project/Area Number |
24580173
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
山田 潔 宇都宮大学, 農学部, 講師 (30313076)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アレルギー / 食品 / 免疫学 / タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではこれまでに、主要な牛乳アレルゲンであるβ-ラクトグロブリン(β-LG)を高圧下ペプシン処理することにより、タンパク質の断片化による低アレルゲン化と、経口摂取後の経口免疫寛容の誘導が可能であることを示してきた。本年度は高圧下ペプシン処理における処理時間が低アレルゲン化に及ぼす影響を詳細に解析した。β-LG水溶液にペプシンを添加し、400 MPaまたは600 MPaで5、10、20分間高圧処理してペプシン分解物を得た。BALB/cマウス腹腔内にAlumアジュバントと共にβ-LGを2週間ごとに2回注射した。β-LGを免疫したマウスにβ-LGを腹腔投与後、30、60、120分における直腸温を測定し、投与後のマウスの様子を観察した。誘導されたアナフィラキシーショックによる体温低下と、アナフィラキシーショック症状のスコアを指標として低アレルゲン化したβ-LGの安全性を評価した。未処理β-LG投与では体温が投与30分後に4.0±1.4℃、60分後には6.0±3.1℃低下した。一方、400 MPaまたは600 MPaで5、10、20分間ペプシン処理したβ-LG投与後には有意な体温低下は認められず、処理時間による違いも認められなかった。また、観察されたショック症状のスコアからも、いずれの処理時間でペプシン処理した場合でも、β-LG分解物投与ではアナフィラキシーショックが誘導されなかった。これらのことから、本研究で検討した高圧下ペプシン処理のいずれの条件でもβ-LGの低アレルゲン化が可能であること、アナフィラキシーショック症状の抑制効果に低アレルゲン化の処理条件の違いによる差はないことが示唆された。
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