2013 Fiscal Year Research-status Report
乱れた食生活が原因で惹起される肝臓の炎症反応:免疫・代謝機能に及ぼす影響
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24580174
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大荒田 素子 千葉大学, 真菌医学研究センター, 助教 (40211784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五ノ井 透 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (30134365)
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Keywords | 復食 / 炭水化物 / グルコース / 炎症反応 / 肝臓 / 生活習慣病 |
Research Abstract |
昨年度、乱れた食生活の一つである不規則な食事の実験例として、[絶食-復食] が肝臓の炎症反応の誘導に及ぼす影響についてマウスを用いて検証した。その結果、肝臓の炎症反応の誘導には、食事性脂質ではなく、食事性炭水化物が深く関与していることが明らかになった。また、絶食-復食に伴う肝臓での炎症反応の誘導には、TLR2 シグナル経路が関与していることが明らかになった。そこで本年度は、食事に含まれる炭水化物の種類が、絶食-復食に伴う肝臓の炎症反応の誘導に及ぼす影響について比較検討した。その結果、α-コーンスターチもしくはグルコースを復食したマウスでは、血中のグルコース濃度が急激に増加し、肝臓でTLR2および炎症関連因子、ストレス関連因子等の遺伝子発現が増大した。一方、フルクトースを復食させた場合には、血中のグルコース濃度の増加が軽減し、肝臓でのTLR2遺伝子発現の増加は見られず、炎症関連因子、ストレス関連因子の遺伝子発現の増大も軽減した。また、復食により肝細胞の崩壊が亢進されたが、崩壊の程度は、α-コーンスターチもしくはグルコースで復食したマウスで、フルクトースを復食したマウスと比べて、有意に増大した。一方、α-コーンスターチもしくはグルコースを復食したマウスとフルクトースを復食したマウスの間で、TLR2の内因性リガンドの肝臓での発現量に有意な差は認められなかった。以上の結果から、絶食-復食に伴う肝臓での炎症反応の誘導には、グルコースが重要な役割を果たしていることを確認した。グルコースの過剰摂取による肝細胞傷害で細胞外へ放出された内因性リガンドと、TLRsとの反応が増加したことが一因と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展しているが、長期動物実験をこの3月から始める予定でいたが、5月にずれ込みそうである。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究結果をふまえて、今年度は、欠食習慣(食事抜きとドカ食いの繰り返し)が、肝臓での炎症反応の誘導を介して、生活習慣病の一つである肝疾患の発症リスクを高めるメカニズムについて解明する。 具体的には、標準食を与えながら実験動物を飼育し、複数回、絶食させる。定期的にマウスから血液、組織(肝臓を含む)を採取する。組織からRNAを抽出し、炎症反応、ストレス応答、恒常性維持、障害回避システム等に関与する遺伝子の発現状況について調べる。また炎症性生理活性分子の産生・分泌を測定する。さらに組織標本を作成し、形態学的観察をおこなう。
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Research Products
(2 results)