2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24580181
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
林 由佳子 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60212156)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 味覚 / マウス / 酸味受容 / ATP受容 / III型味細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
五感の中の視覚・嗅覚・味覚は、類似の機構で感知・情報変換・伝達・処理される。すなわち、Gタンパク質共役型受容体で受容され、セカンドメッセンジャーを介し、神経がその情報を中枢に伝達している。味細胞の応答頻度が味神経応答頻度と一致しないことから、その途中になんらかの情報の整理整頓が行われていると考えるのが一般的である。しかし味蕾のなかに4種の味細胞が存在しⅠ型はグリア様、Ⅱ型は甘味・苦味・うま味受容、Ⅲ型は酸味受容、Ⅳ型は前駆細胞と考えられ情報が中枢に送られていく過程にそのような情報処理の過程を考えるのは困難である。Ⅲ型味細胞には酸味受容する細胞のほかにATPを受容する細胞が存在するという成果を得ている。そこで本研究においては、ATP受容に関わる受容体の同定と細胞における存在場所に関して明らかにし味情報の整理を明らかにすることを目的とした。本研究を通じて、ヒトと味覚の類似したC57BL系統マウスを用いて酸味受容細胞とATP受容細胞の存在を組織免疫染色で調べた。ATP受容細胞に存在するATP受容体のタイプを細胞タイプとの相関性を見るために、Ⅱ型味細胞のマーカーやⅢ型味細胞のマーカーとの2重染色を試みた。その結果P2X2、 P2X3は味細胞ではなく味神経に存在していた。また、そのほかのATP受容体、P2Y1、P2Y2、P2Y4はそのタイプによって、Ⅱ型味細胞とⅢ型味細胞の両方に存在するものとどちらかに局在するということが示唆される結果を得た。ATP受容する細胞には酸味受容体の発現は見られず、反対に酸味受容する細胞はATP受容体の発現は見られなかった。このことからIII型味細胞は少なくとも酸味を受容する細胞、ATPを受容する細胞の2種類が存在することが明らかになった。
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