2012 Fiscal Year Research-status Report
ケンフェロール分解物による薬物代謝第II相酵素活性化機序の解明
Project/Area Number |
24580182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
橋本 堂史 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90362764)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 薬物代謝第II相酵素 |
Research Abstract |
西洋ワサビ葉由来ケンフェロール配糖体の経口摂取により肝臓中の薬物代謝第II相酵素(グルタチオンS-転移酵素(GST)およびキノンレダクターゼ(QR))の活性が増加する。この活性化に腸内細菌による分解産物と考えられる4-ヒドロキシフェニル酢酸が関与していることを明らかにするため、無菌マウス(IQI/Jic(ICR)マウス)に西洋ワサビ葉由来ケンフェロール配糖体を飲水に混ぜ一週間自由摂取させた。その結果、無菌マウスでは薬物代謝第II相酵素の活性増加が見られなかった。また、血漿中に、4-ヒドロキシフェニル酢酸(4-HPAA)や、その他の分解物(ケンフェロールやp-クレゾールなど)の抱合体の増加は見られなかった。以前の研究により、本ケンフェロール配糖体が小腸からケンフェロールとして吸収されないことが示されていることからも、薬物代謝第II相酵素の活性化には腸内細菌が必要であり、これにはケンフェロール配糖体の分解物がかかわっていることが明らかとなった。腸内細菌をもつICRマウスでは、本ケンフェロール配糖体を一週間投与することにより、抱合を受けていない4-HPAAが5μMから10μMの濃度で血漿中に確認されたことから、これらの濃度の4-HPAAをマウス肝由来Hepa1c1c7に作用させ、QRの変化について調べた。4-HPAAで処理した細胞では、6時間後にQRのタンパク量および活性が増加しており、その活性増加は濃度依存的であった。一般的に抱合物は抱合を受けていないものと比べ、生体調節機能が低下すると考えられている。このことも踏まえ、抱合を受けていない4-HPAAが薬物代謝第II相酵素の活性化に寄与する活性物質であると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大腸内容物中の分解物をHPLC/クロアレイ電気化学検出器などを用いて検出する予定であった。しかし大腸内容物中には夾雑物が多く、4-HPAAなどの抽出方法が確立できていない。今後、抽出方法を確立し、分析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
4-ヒドロキシフェニル酢酸の体内動態について明らかにする。具体的には、胃ゾンデ法により西洋ワサビ葉由来ケンフェロール配糖体をICR マウスに単回経口投与し、経時的に採血し、これらに含まれる4-ヒドロキシフェニル酢酸をLC/MS/MS を用いて定量する。その後、薬物動態パラメーター(最高血中濃度Cmax、最高血中濃度到達時間Tmax、半減期t1/2、血中濃度曲線下面積AUC)を求める。 一方、本ケンフェロール配糖体と同様に小腸で代謝吸収されないと報告されているルチン(ケルセチン配糖体)についても同様に薬物代謝第II相酵素の活性化に関与することが考えられるので、腸内細菌による分解産物を3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸であると想定し、その薬物代謝第II相酵素への影響を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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