2012 Fiscal Year Research-status Report
大豆イソフラボンの食欲抑制効果の消化管を介した新規機構の解明
Project/Area Number |
24580189
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岸田 太郎 愛媛大学, 農学部, 准教授 (80304658)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イソフラボン / 大豆 / 食欲 / エストロゲン / 視床下部 / 神経伝達物質 / レプチン |
Research Abstract |
我々は、大豆イソフラボン・ダイゼイン腸内細菌代謝産物エコールが雌特異的に飼料摂取量を減少させることを見出し、その機構解明を目指している。先の研究で、エコールは 腸肝循環し小腸に比較的多量に存在すること、ダイゼイン混餌投与によって小腸粘膜のコレシストキニン(CCK)mRNA量が増加することが示された。これらから我々は、腸肝循環エコールが直接、小腸粘膜で食欲抑制を指令する消化管ホルモンの分泌を増加させ、飼料摂取量を減少させるという仮説を立てた。そこで無麻酔無拘束下でダイゼイン摂取時に採取したエコール高含有胆汁をダイゼイン無摂取ラットの十二指腸に直接注入し、飼料摂取量や小腸粘膜遺伝子発現に与える影響を検討した。しかし、この際血中エコール濃度も短時間で高い値となってしまい、作用点が小腸であるか、体内の他の部位であるか判断できなかった。本研究ではエコールを非経口投与した場合に短期的な食欲抑制効果をもたらすか、小腸以外の重要な作用点である脳に食餌されたエコールが到達し得るかを検討するとともに、腸肝循環モデルを精査し、エコール高含有胆汁注入量を先の試験の約3分の1に改め、先の高含有エコール胆汁注入実験を再検討し、エコールの腸肝循環が食欲抑制効果に関与するか検証することにした。またCCK感受性欠損動物により、エコールの作用がCCKを解しているか検証した。 ダイゼイン摂取により血液中のエコール濃度は上昇したが脳脊髄中ではエコールは検出できなかったことより、エコールは中枢に達していないことが示唆された。エコールを皮下投与しても4日間では飼料摂取量に影響は見られなかったことより、エコールは腸肝循環してはじめて作用する可能性が示唆された。一方で小腸よりの食欲抑制シグナルの最有力候補であったCCKの感受性が欠損したラットにおいてもダイゼインは飼料摂取量を低下させ、CCKの機構への関与は否定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
作用部位の特定作業は順調に進み、消去法も交えながら「腸肝循環しながら消化管で作用する」機構が確立されつつある。一方で同一メーカー、同一系統のラットでも供給施設の違いにより食欲抑制効果の発現に差異が見られた。血中イソフラボン代謝物濃度にもこれと符合する差異が見られたことから、イソフラボンの腸内細菌代謝が異なる可能性が浮上した。これについて過去数年のデータの照会作業によりやや進度が遅れ、また、詳細な遺伝子発現等の解析を次年度に繰り越した。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の効果の差異と生育所の関係について検証実験を行ない、生育所を指定して動物を安定化させる必要がある。予定外の1から2試験を設定する必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ラット納入業者が所有する3箇所の生育所よりそれぞれラットを入手し、大豆イソフラボンを混時投与し、食欲抑制効果の発現を比較するとともに、血中イソフラボン濃度を測定し、最適な生育所を決定する。これについては大きな費用は伴わない。生育所を決定次第、昨年度予定の腸肝循環する大豆イソフラボン代謝物が小腸および中枢の食欲関連因子の発現に与える影響を詳細に解析する。
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Research Products
(3 results)