2013 Fiscal Year Research-status Report
大豆イソフラボンの食欲抑制効果の消化管を介した新規機構の解明
Project/Area Number |
24580189
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岸田 太郎 愛媛大学, 農学部, 准教授 (80304658)
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Keywords | イソフラボン / 大豆 / 食欲 / エストロゲン / 視床下部 / 神経伝達物質 / レプチン |
Research Abstract |
我々は、大豆イソフラボン・ダイゼイン腸内細菌代謝産物エコールが雌特異的に飼料摂取量を減少させることを見出し、その機構解明を目指している。これまでの検討より我腸肝循環エコールが直接、小腸粘膜で食欲抑制を指令する消化管ホルモンの分泌を増加させ、飼料摂取量を減少させるという仮説を立て、無麻酔無拘束下でダイゼイン摂取時に採取したエコール高含有胆汁をダイゼイン無摂取ラットの十二指腸に直接注入し、飼料摂取量や小腸粘膜遺伝子発現に与える影響を検討している。本研究では腸肝循環モデルを精査することを目論んでいたが、これらの研究過程で一部研究ロットでダイゼインの効果が十分に確認できない事例が見られ、研究に支障が出てきた。これについてデータを検証したところ搬入するラットの生育所によりダイゼイン→エコールの変換能が大きく異なる可能性が示唆された。本研究では複数の異なる生育所よりラットを入手しダイゼインの効果および血中エコール濃度を比較し、実験に支障の無いラットの入手の確保を試みた。またこの間当初の予定の代替案として、ダイゼイン摂取ラットより採取したエコール高含有胆汁の代わりに純粋なエコールによる胆汁モデル溶液を用いた実験を試みた。 ダイゼイン→エコールの変換能の低い生育所が特定され、その後はこの生育所以外よりラットを入手することにより、良好な結果を得ることができた。代替案として行った胆汁モデル溶液の注入実験では、驚いたことにダイゼインを摂取させたラット胆汁と同じ濃度の純粋エコールが含まれているにもかかわらず、飼料摂取量が低下することは無く、注入初期(3時間まで)には有意ではないが、飼料摂取量が逆に増加する傾向が見られた。同様の実験を繰り返したが再現された。胆汁中のエコールの存在形態(抱合型)が作用に重要であるか、ダイゼイン摂取時に胆汁中に現れるエコール以外の物質が作用していると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べたラット入手先の生育所の違いの効果発現への影響の確認に時間を要した。また、この検証を行っている間に当初計画の代替案として行った検討により、作用物質の特定につながる新たな可能性が浮上し、実験計画の変更が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初より企画していた無麻酔無拘束下でダイゼイン無摂取ラットの十二指腸に試験溶液を直接注入し、飼料摂取量や小腸粘膜遺伝子発現に与える影響を検討する系において、ダイゼイン摂取時に採取したエコール高含有胆汁と、純粋エコールを用いエコール高含有胆汁と同じエコール濃度で調製した胆汁モデル溶液について効果を比較する。エコール高含有胆汁については、エコールの存在形態をLC-qTOF等で探るとともに、エタノール抽出や固層抽出等の簡便な精製処理により抱合型エコールの組成製を行い、先と同様のラット十二指腸注入実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実績報告に述べた一昨年度に生じた研究遂行上の不具合を解消するための追加実験により、実験計画が当初より若干遅れたため、当初予定していた実験の遂行が次年度に持ち越しとなったため。 前年度より持ち越された実験計画を遂行するために使用する。当初の当該年度計画と並行して行うが十分遂行可能と判断している。
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Research Products
(1 results)