2014 Fiscal Year Research-status Report
多機能性乳タンパク質活性本体の構造解析と生理活性の応用に関する研究
Project/Area Number |
24580197
|
Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
川上 浩 共立女子大学, 家政学部, 教授 (90458860)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 食品機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラクトフェリン(LF)およびLF結合成分の免疫機能調節作用を解明するために、レーザーイオン化飛行時間型質量分析計(MALDI/TOF/MS)でプロテオーム解析したLF結合成分94種類の中から、免疫機能調節作用が現在までに報告されていないペプチド画分を中心に、動物細胞培養系で免疫細胞調節活性を調べた。ヒト骨髄球系白血病細胞株HL60細胞を用いて、好中球様細胞外トラップ形成に及ぼす作用を探索した。トロンボキサン受容体アンタゴニストで前処理したHL60細胞に、各ペプチド検体試料を作用させ、トロンビン受容体活性化ペプチドで活性化させた血小板で刺激した後、培養上清中のDNA量をdsDNAアッセイ試薬で測定し、HL60細胞からのDNAの放出量を調べた。その結果、分子量1,000~5,000の範囲に含まれる3種類のペプチドを作用させた際に、濃度依存的に培養上清中のDNA濃度が減少し、好中球様細胞外トラップ形成によるDNAの放出が抑制された。一方、卵白アルブミン(OVA)であらかじめ免疫したBALB/c系マウスのリンパ節細胞を、抗CD3抗体あるいはOVAとともにペプチド画分を加えて培養したところ、抗CD3抗体やOVAによって誘導されるT細胞増殖応答が完全に抑制された。さらに、上記マウスの脾臓細胞を、抗CD3抗体あるいはLPSとともにペプチド画分を添加して培養し、その際に産生されるサイトカインを測定したところ、IL-17の産生が抑制された。以上の結果より、これらペプチドには、好中球様細胞外トラップ形成、およびTCR刺激で活性化されたCD4+T細胞の応答を抑制する作用があることが明らかとなり、LF結合成分の中に免疫機能調節作用を有するペプチドの存在が見出された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HPLC精製の際に構造変化が起こり生理活性を維持した状態で分離できなかったLF結合成分に、生体成分精製装置で分離して活性を維持できるものと、維持できないものがあった。市販の試薬を活用することを検討したが、動物種が異なるなどの理由から独自に精製が必要となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
構造が明らかになった成分の中で市販品を入手できないものについては、LFから独自に精製するために他の分離方法を検討する。
|
Causes of Carryover |
分離操作の際に使用する溶媒を除去するための遠心濃縮装置を購入する予定であったが、学内の購入事務手続きの関係で年度明けの4月に購入することとなったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
新年度4月初旬に本装置を購入する。
|