2012 Fiscal Year Research-status Report
安全性を考慮した大豆イソフラボンおよびその代謝産物の有効性の検討
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24580198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
上原 万里子 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (20211071)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大豆イソフラボン / equol / 鏡像異性体 / フラクトオリゴ糖 / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
主要大豆イソフラボンであるdaidzeinの代謝産物equolの鏡像異性体とracemi体の比較について、8週齢のddY雌マウスにSham(偽手術)または卵巣摘出(OVX)術を施し、OVX群を4群(S-equol,R-equol,Racemi-equol,17beta-estradiol(E2)投与)に分け、4週間の飼育観察を行った。3種のequolおよびE2は、溶媒に溶解させ、浸透圧ポンプにて各々皮下より0.5mg/day/kg体重を投与した(E2はpositive controlとして0.03ug/day/kg体重投与)。基礎飼料としてAIN93-Gを自由摂取させた。4週間後にマウスは解剖し、血液、尿、大腿骨および脛骨を採取した。大腿骨は骨密度(BMD)、骨強度測定に供し、脛骨はReal Time PCRによる骨吸収関連遺伝子発現解析に供した。骨密度はDXA法、骨強度は三点折り曲げ法、骨吸収マーカーのCTxはELISA法にて測定した。血清・尿中S-およびR-equol濃度はキラルカラムを用いてクーロアレイHPLCにて測定を行った。その結果、大腿骨BMDおよび骨強度共にOVXによる明らかな低下が認められ、各equol投与群の中では、S-equolの効果が強く、副作用のマーカーとなり得る子宮重量にも影響を与えなかった。CTxはBMDの結果を反映していた。骨吸収関連遺伝子として、TNF-alpha、IL-6、RANKL/OPG比のmRNA発現は、OVXにより高値および高値傾向を示したが、各equolにより抑制傾向が認められ、構造の違いによる変動はなかった。また、各equolの破骨細胞分化に対する影響を観察したところ、構造による差異はなかった。OVXマウスでは血・尿中S体濃度が高く、効果も強かったことから、間接的な効果が強い可能性が高いが、更なる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、大豆イソフラボン代謝産物equolの鏡像異性体とracemi体について、閉経後骨粗鬆症モデル動物おける骨量減少に対する構造の違いによる効果の差異が検討出来た。脂質代謝への影響の検討は今年度では行わなかったが、equolの構造の差異による直接的な影響の検討として破骨細胞分化に対するin vitro試験を加えた。その際、equolの破骨細胞分化抑制は確認できたものの、構造による差異は観察されず、その用量依存性についても未確認である。また、今回の結果により、equolの組織分布、糞中排泄等の確認の必要性も感じたことから、次年度への課題を残したが、興味深い結果が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の結果より、equol鏡像異性体の組織(肝臓、腎臓、脾臓、脳)分布(サンプルの前処理にテクニックが必要なため、ヘルシンキ大学に測定を委託)と代謝、破骨細胞分化抑制の用量依存性の確認を行いつつ、大腿骨および肝臓からRNAを抽出し、DNAマイクロアレイ解析に供する。 また、同様なOVXマウスに対して大豆イソフラボン投与により骨に対して有効性を発揮する量を通常量とした場合、その半量投与を行い、FOSまたは新しい難消化性オリゴ糖(5-7%)との併用摂取を6週間行うことより、イソフラボン投与量の低減を検討する。骨密度はDXA法、骨強度は三点折り曲げ法、骨代謝マーカー (OC, DPD, CTx)はELISA法、血中・肝臓中の脂質量については市販のキットを用いて分光光度計にて測定する。骨・腎臓中Ca、Mg濃度を原子吸光光度計にて測定する。血・尿中イソフラボンおよび代謝産物濃度は、時間分解蛍光免疫法(TR-FIA)にて測定を行う。もう一つのdaidzein代謝産物O-DMAはヘルシンキ大学でしか測定できないことから、研究所に出張し、研究代表者が測定する。また可能であれば骨中のequol鏡像異性体濃度も測定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬100万円(DNAマイクロアレイおよび関連試薬、遺伝子関連発現試薬、イムノアッセイ・骨代謝マーカーキット等)、国外出張費(ヘルシンキ大学)30万円、その他の経費 30万円(組織中equol濃度測定委託30万円) 合計 160万円
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Research Products
(7 results)