2013 Fiscal Year Research-status Report
安全性を考慮した大豆イソフラボンおよびその代謝産物の有効性の検討
Project/Area Number |
24580198
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
上原 万里子 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (20211071)
|
Keywords | 大豆イソフラボン / equol / 鏡像異性体 / 難消化性糖質 / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
イソフラボン代謝産物equolの鏡像異性体を0.5mg/日となるよう、4週間浸透圧ポンプにより皮下投与した卵巣摘出(OVX)および対照(OVX単独・Sham:偽手術)マウスの大腿骨からRNAを抽出し、DNAマイクロアレイに供した。得られたデータを正規化し、階層的クラスター解析を行ったところ、Sham、OVX、OVX+(S)-equol(OVX-S)、OVX+(R)-equol(OVX-R)の4群で発現変動が異なるクラスタリングとなったが、クラスター間の距離については、OVX-SがShamに近く、OVX-RがOVXに近い結果となった。また、fold changeが1.3以上、P<0.05で変動した遺伝子のうち、Sham-OVX間では1,403、OVX-OVX-S間では726、OVX-OVX-R間では4,410、OVX-S-OVX-R間では4,388であった。更にSham vs. OVXでupし、OVX vs. OVX-Sでdownした遺伝子は139、逆にdownし、upした遺伝子は93であった。この139遺伝子のうち、細胞接着、細胞分裂、神経分化等細胞機能に関わる遺伝子群が多く、Wntシグナルの変動により、OVXではGタンパク質を介して細胞内Ca2+の上昇(Casrの発現変動あり)からカルシニューリンの上昇、NFATによる破骨細胞(OC)分化が誘導され、(S)体投与ではOC分化が抑制される可能性が示唆された。 各equol投与による組織分布については、肝臓、腎臓、大腿骨で(S)体が、脳では(R)体の濃度が高くなる傾向を示した。 骨髄細胞(BMC)培養液中への各equol添加では(0, 0.1, 10uM)、活性型ビタミンD刺激によるOC分化は(S)-equol添加により濃度依存的に抑制されたが、(R)-equol添加では、0.1uMから明らかなOC分化抑制作用が観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた各equol鏡像異性体投与の大腿骨DNAマイクロアレイ解析、組織分布、細胞毒性を示さない範囲での破骨細胞分化抑制への用量依存性が確認出来た。大豆イソフラボンと難消化性糖質併用摂取によるイソフラボン投与量の低減化についても検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
大豆イソフラボンと難消化性糖質併用摂取によるイソフラボン投与量の低減化についての結果をまとめ、骨粗鬆症モデルマウスにおいて、生殖器に影響を与えず、骨量減少抑制効果を発揮する血・尿中イソフラボン濃度と同様なヒト血・尿中濃度からヒトでのイソフラボン適正摂取量を考察する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
骨粗鬆症モデルマウスにおいて、生殖器に影響を与えず、骨量減少抑制効果を発揮する血・尿中イソフラボン濃度と同様なヒト血・尿中濃度から、ヒトでのイソフラボン適正摂取量を、次年度で考察する為、本年度にマウスの当該濃度の経時変化等を測定する予定であったが、継続中であり、一部を次年度で検討する事にした為、その測定キットに係る経費が次年度に繰り越された。 消耗品76万円(イソフラボンおよび代謝産物測定関連キット・試薬、遺伝子発現解析関連試薬、骨代謝マーカー測定キット等)、人件費・謝金30万円(イソフラボン介入試験謝礼)、旅費30万円(国内外へ成果発表)合計 136万円を使用予定
|
Research Products
(7 results)