2012 Fiscal Year Research-status Report
ニンニク臭気前駆体―多糖/タンパク質複合系による次世代型機能性食品の創製
Project/Area Number |
24580201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
熊谷 日登美 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20225220)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ニンニク臭気前駆体 / 血糖値上昇抑制 / α-アミラーゼ阻害 / 非拮抗阻害 |
Research Abstract |
ニンニク臭気前駆体物質であるS-allyl-L-cysteine sulfoxide (ACSO)の生体内における生理活性およびその作用機序を明らかにするため、まず、ACSOを実験動物に投与し、経時的に採血を行い、ex vivoにおけるACSOの血小板の凝集抑制作用について検討した。しかし、データのバラツキが大きく、効果の判定が困難であった。このため、ACSOの他の生理効果を探索するため、血糖値上昇抑制作用について検討を行った。ラットにデンプンと同時にACSOを経口投与した後、経時的に採血を行ったところ、ACSOは、デンプン負荷に伴う血糖値および血中インスリンの上昇を抑制した。一方、ラットにグルコースと同時にACSOを経口投与した場合には、血糖値およびインスリンの上昇抑制作用は見られなかった。これらのことから、ACSOがα-アミラーゼあるいはマルターゼの活性を阻害する可能性が考えられた。そこで、pH 5~7におけるα-アミラーゼあるいはマルターゼの阻害活性をin vitroで測定した結果、ACSOは、いずれのpHにおいてもマルターゼの活性は阻害しなかったが、pH 6以下においてα-アミラーゼの活性を阻害した。しかし、ACSOの類縁化合物であるS-methyl-L-cysteine sulfoxide (MCSO)、S-ethyl-L-cysteine sulfoxide (ECSO)、S-allyl-L-cysteine (ACS)では、α-アミラーゼの阻害活性はみられなかった。このことは、α-アミラーゼ阻害には、アリル基およびスルフォキシド構造の両方が必要であることを示唆している。Lineweaver-BurkプロットによりACSOのα-アミラーゼ阻害様式を調べたところ、ACSOは、非拮抗的にα-アミラーゼを阻害することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初期待した血小板凝集抑制作用では効果の有無の判定が困難であったが、新たな生理作用として、血糖値上昇抑制作用について検討したところ、ACSOがデンプン負荷時に血糖値の上昇を抑制することが明らかとなった。さらに、この作用が、ACSOの非拮抗的α-アミラーゼ阻害によるものであることも示した。ACSOの生理効果をin vivoで明らかにし、その作用機序も解明したことから、本年度の目的は達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、食用可能なACSO高含有ニンニク抽出物の調製を行い、この抽出物の嗜好性等の特性を評価する。さらに、本抽出物を用いて、多糖等の高分子分子成分とのゾル/ゲルを作製し、その物性および嚥下特性を評価する。また、当初の計画にはなかったが、ニンニク抽出物の新たな生理作用についても、実験動物を用いて検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(7 results)