2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580206
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
田村 基 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品機能研究領域, 上席研究員 (70353943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 博之 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品安全研究領域, 主任研究員 (30308192)
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Keywords | フィトエストロゲン / エコール / エンテロジオール / ダイゼイン / リグナン / エストロゲン / エンテロラクトン / マウス |
Research Abstract |
本年度は、マウスに大豆イソフラボンの一つダイゼインと植物リグナンの一つアマリグナンを両方含む食餌をマウスに給餌した。マウスは各群7匹ずつとし、一方のマウスには3種類のリグナン代謝菌3菌を生理食塩水中で混合してからマウスに経口投与し、もう一方のマウスには対照群として生理食塩水を経口投与した。解剖一週間前にマウスを代謝ケージに移し、マウスの糞便を採取した。糞便は採取後凍結乾燥して、糞便脂質重量を測定した。また尿中イソフラボン類とリグナン類濃度とをHPLCで測定した。飼育試験終了後マウスを解剖し、盲腸を採取し、内臓脂肪重量、血漿脂質濃度を測定し、肝臓を採取して肝臓脂質重量を測定した。尿中エコール濃度は、リグナン代謝菌投与群は、生理食塩水投与群に比べて高い傾向が認められた。しかし、ジヒドロダイゼイン濃度はリグナン代謝菌投与群で低い傾向が認められた。尿中エンテロジオール濃度はリグナン代謝菌投与群で高い傾向が認められ、内蔵脂肪重量に関してはリグナン代謝菌投与群と生理食塩水投与群とで有意な差は認められなかった。肝臓脂質は生理食塩水投与群に比べてリグナン代謝菌投与群で低い傾向が認められ、血漿コレステロール値はリグナン代謝菌投与群で低い傾向が認められた。糞便への脂質排泄量もリグナン代謝菌投与群で多い傾向が認められた。肝臓脂質、血漿コレステロール値はリグナン代謝菌投与群が生理食塩水投与群に比べて低い傾向が認められ、糞便脂質排泄量がリグナン代謝菌投与群で多い傾向が認められたことから、リグナン代謝菌はマウスの脂質代謝に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リグナン代謝菌のマウスへの投与で、マウスの尿中エコール濃度とエンテロジオール濃度は生理食塩水投与群に比べて高い傾向が認められた。エコールとエンテロラクトンはフィトエストロゲンに属し、弱いエストロゲン活性を有している。フィトエストロゲンは脂質代謝に影響を及ぼすことから、今回マウスで観察されたリグナン代謝菌投与群と生理食塩水投与群の血漿コレステロールや肝脂質の違いは、リグナン代謝菌投与によって生じたフィトエストロゲン代謝の違いが関与している可能性が示唆されるといった新知見を得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスにイソフラボンとリグナンの両方を含む試験食を給餌して飼育する。リグナン代謝菌とイソフラボン代謝菌の混合投与群には、GAM寒天培地で嫌気培養したリグナン代謝菌とイソフラボン代謝菌(エコール産生菌、ジヒドロダイゼイン産生菌)を滅菌生理食塩水で混合して、定期的に経口投与する。対照群には生理食塩水を経口投与する。解剖一週間前にマウスを代謝ケージに移し、試験食を給餌する。尿中イソフラボン類とリグナン類濃度とを測定し、エコール産生性やエンテロラクトン産生性に及ぼすイソフラボン代謝菌とリグナン代謝菌の混合投与の効果を検討する。
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Research Products
(2 results)