2014 Fiscal Year Research-status Report
多様な施業を組み合わせた時空間森林計画に関する研究
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24580215
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
龍原 哲 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40227103)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 森林計画 / 0-1整数計画法 / 高齢林 / 地理情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は収益の安定性を考慮した上で,多数の輪伐期を含む長期収穫計画モデルを定式化し、新潟県村上市旧山北町内の民有林スギ人工林に適用した。各小班の面積、林齢、地位は森林簿から求め、斜面傾斜角、道路からの距離、最大集材距離、平均集材距離は地理情報システムを用いて取得した。小班ごと施業体系ごとに収穫量、収入、支出を計算し、1輪伐期の収益合計を算出した。収益を期待できない小班では施業を行わないと考え,ha当たり年当たりの収益が0円/ha・年以上となる施業体系のみその小班で採用できるとした。計画期間全体にわたる総収穫材積を最大化する場合と中径材収穫材積のみを最大化する場合の2通り、現在の伐期齢(林齢51~100年生)が継続されるとした場合と現在の伐期齢が20年拡大する(林齢51~120年生)と想定した場合の2通り、計4通りのシナリオを考えた。0-1整数計画法を用いて、計画期間全体にわたって各分期の木材生産量を一定幅に収め、計画期間全体の木材生産量の合計を最大とする長期伐採計画モデルを定式化した。そのモデルをスギ人工林13,792小班、8,701.5haに対して適用し、上記4通りのシナリオに対してシミュレーションを行った。その結果、高水準の収益性を維持しつつ、現状以上の木材生産が可能であることが示された。現在我が国の人工林の齢級配置で一般的な単峰型の齢級構成において,伐期齢の拡大は持続可能な木材供給量の水準を大幅に高めることがわかった。大型製材工場・集成材工場における原料の中心となる中径材の生産量を最大化することが必ずしも収益の最大にはつながらないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度、多数の施業体系を含む長期収穫計画モデルの基本型を定式化し、前年度より多数の小班がある地域に適用することができた。しかし、収穫量を最大化するまでに猶予期間を設定したり、各分期の収穫量の変動幅を変化させたりしてシミュレーションするところまでできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
収穫量を最大化するまでに猶予期間を設定したり、各分期の収穫量の変動幅を変化させたりできるように長期収穫計画モデルを修正する。
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Causes of Carryover |
平成26年5月に投稿した論文の審査の過程で、査読者より重大な問題点の指摘があったため、参考とすべき文献を追加で調査するとともに、データの解析をやり直す必要が生じた。そのため、予定通り研究が進まなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
森林の現地調査を行なうための旅費、平成27年度に印刷される論文の別刷り代金として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)