2014 Fiscal Year Annual Research Report
樹液流により輸送される二酸化炭素の行方?気孔を介さない光合成の可能性
Project/Area Number |
24580216
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
楢本 正明 静岡大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10507635)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 幹呼吸 / CO2輸送 / 樹液流 |
Outline of Annual Research Achievements |
森林生態系における炭素循環において、非同化器官における呼吸量は大きく、幹呼吸量の評価は重要である。しかし、幹呼吸は樹体内の細胞が呼吸によって放出したCO2を単に大気に放出しているのではなく、樹体内部および樹皮でのCO2拡散抵抗や、樹液流に寄るCO2輸送、同化器官での固定など、種々の影響を受ける。樹体内のCO2は、どこへ移動し、どこで放出または固定されるのか?この樹体内で起こるCO2動態については不明な点も多い。 本研究では、アラカシ切り枝を用いて樹体内CO2輸送とその光合成への貢献について検討したほか、ブナ成木を対象に高さ別での幹呼吸速度の測定を行った。また、幹呼吸における樹皮のCO2拡散抵抗を異なる樹皮形態を持つ種間で比較するために、37種を対象に幹呼吸特性を測定した。 アラカシ切り枝を用いた実験では、樹液流による上方へのCO2輸送が確認され、安定同位体を用いたトレーサ実験から下方より輸送されたCO2の多くが当年枝や葉柄において固定されていることが分かった。樹皮形態の異なる種間での幹呼吸特性の比較からは、樹皮形態の違いによるCO2拡散抵抗の違いが幹表面からのCO2放出に影響している可能性が示され、アラカシ切り枝の樹皮剥離実験からも樹皮によるCO2拡散抵抗が確認された。また、ブナ成木における高さ別の幹呼吸速度を樹液流の有無による日中と夜間で比較した結果からは、樹液流に伴うCO2輸送が幹呼吸に及ぼす影響は高さによって異なり、幹呼吸の増加に寄与する箇所と減少に寄与する箇所があることが分かった。
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