2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580218
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 信 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (00133132)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 隆之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20233877)
高柳 敦 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (70216795)
山崎 理正 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80263135)
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Keywords | ブナ / ミズナラ / クリ / 毎木調査 / 胸高断面積合計 / ナラ枯れ / 天然林 / 二次林 |
Research Abstract |
世界的にブナ科樹木の衰退が報告される中、日本でも分布境界域におけるブナの大径木枯死や、被害が沈静化しないミズナラの集団枯死(ナラ枯れ)、成熟した二次林におけるクリの衰退が見受けられる。 昨年度、京都大学芦生研究林のモンドリ谷に設置した16haの固定プロットで、1992年から継続している5年ごとの毎木調査の5回目を執り行った。20年分のデータを解析した結果は、冷温帯林におけるブナの衰退を示唆していた。調査地ではシカの過採食により下層植生が衰退し、土壌流出の傾向が見られる。このような変化がブナの衰退に影響を及ぼしているのであれば、急傾斜地で枯死確率が上がっている可能性がある。ブナ衰退の要因として、斜面傾度などの立地環境と立木密度に注目し、解析を行った。固定プロットの一部(1.5ha)を対象に、立木と枯死幹の位置と標高をDGPSとレーザ距離計を用いて測量した。この測量データから計算した地形要素と立木密度及び個体の胸高直径を説明変数とし、1992年から5年毎のブナの枯死確率を個体レベルで予測するモデルを構築し、モデル選択を行った。その結果、立木密度と個体の胸高直径が最適モデルに説明変数として採択され、胸高直径が太くなり周辺の立木密度が高くなるほどブナの枯死確率が上がっていることが明らかとなった。斜面傾度などの地形要素は説明変数として採択されず、下層植生の衰退がブナの衰退に及ぼす間接的な効果は検出されなかった。これらの結果を2014年3月の学会で発表した。 京都府東部の八丁平湿原周辺の二次林を踏査し、ミズナラにみられるナラ枯れの被害拡大パターンを解析するためのデータを取得した。具体的には前年のナラ枯れ被害木の位置をGPSで測位し、生死を判別した上で胸高直径を測定した。この調査はもう1年継続し、天然林のデータとの比較解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施計画に挙げていた【ブナの衰退要因の探索】については予定通り終了し、解析結果を日本生態学会で発表した。【二次林におけるナラ枯れ被害拡大調査】についても予定通り終了した。【二次林の毎木調査とクリの衰退過程の解析】については、台風による被害で調査地への林道が一時寸断された影響で終了しなかったので、残りは今年度に執り行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に終了しなかった【二次林の毎木調査とクリの衰退過程の解析】を4月より執り行い、【クリの衰退要因の探索】を秋以降に執り行う。【二次林におけるナラ枯れ被害拡大調査】は5月以降に執り行い、【天然林と二次林におけるナラ枯れ被害拡大パターンの比較】の解析を秋以降に執り行う。
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