2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580218
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 信 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (00133132)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 隆之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (20233877)
高柳 敦 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (70216795)
山崎 理正 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80263135)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ブナ / ミズナラ / クリ / 毎木調査 / 胸高断面積合計 / ナラ枯れ / 天然林 / 二次林 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナラ枯れは病原菌を媒介するカシノナガキクイムシが移動分散することで被害が拡大していくが、その移動分散様式は明らかになっていない。京都大学芦生研究林のモンドリ谷に設置した16haの固定プロットにおける10年間のナラ枯れ被害拡大様式を解析し、カシノナガキクイムシの移動分散様式を推定した。前年の被害木からのカシノナガキクイムシの分散カーネルが対数正規分布に従うと仮定し、平均と標準偏差を変化させることでピーク位置とばらつき具合の異なる100種類の仮想分散カーネルを準備した。前年被害木からの距離に応じてカシノナガキクイムシの移動分散確率を計算し、どのような分散カーネルを仮定した場合に被害発生確率を予測するモデルのあてはまりがよくなるのかを探索した。その結果、前年の被害木から300mにピークがあり、比較的ばらつき具合の小さい分散カーネルを仮定した場合が最もモデルのあてはまりがよくなり、直近には飛ばない移動分散様式が示唆された。最適モデルには、胸高直径と移動分散確率以外に周辺10mのミズナラの密度が説明変数として採択され、局所的に集中分布する太いミズナラがカシノナガキクイムシに攻撃されやすいことが明らかとなった。これらの結果を2015年3月の学会で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【ナラ枯れ被害拡大調査】と【ナラ枯れ被害拡大パターンの解析】については予定通り終了し、解析結果を日本生態学会で発表した。【クリの衰退過程の解析】と【クリの衰退要因の探索】については、台風による被害で調査地への林道が一時寸断された影響で終了しなかったので、今年度に執り行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に終了しなかった【クリの衰退過程の解析】を4月より執り行う。八丁平で1980年より継続してきた毎木調査で得られたデータを解析し、直径成長量と生残状況から30年にわたるクリの衰退過程を明らかにする。特にナラ枯れ被害が確認された2008年以降、その影響がクリにも及んでいるかを検証する。また、【クリの衰退要因の探索】を8月以降に執り行う。立地環境や周囲のナラ枯れ被害木の密度など衰退の要因として考えられるものをリストアップし、可能な項目は現地で測定する。3年ごとの11期分のクリの個体の成長量と生死をそれぞれ応答変数とした一般化線形モデルを構築し、クリの衰退に関わる要因を探索する。
|
Causes of Carryover |
平成25年9月、台風18号の影響で山腹が崩壊し、調査地の1つである八丁平湿原周辺の二次林に至る林道が寸断された。人が通れるような仮復旧はすぐに行われたものの、本格的な復旧には1年を要した。調査地に至る林道は他にもあったが、台風18号通過直後はどの道も土砂崩れなどで寸断され、一時的に調査は不可能となった。これらの影響で、平成26年度に予定していた調査日数を充分確保できず、調査旅費について次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
【クリの衰退過程の解析】を4月より、【クリの衰退要因の探索】を8月以降に執り行う。上記の理由で生じた次年度使用額は、これらの調査に必要な消耗品の購入と旅費に充てる。
|
Research Products
(2 results)