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2012 Fiscal Year Research-status Report

樹木のみが獲得した多様な光合成制御の分子機構とその機能解析

Research Project

Project/Area Number 24580228
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

柴田 勝  山口大学, 教育学部, 准教授 (30300560)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 野口 航  東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80304004)
Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords樹木生理 / 光合成 / 色素 / 環境適応
Research Abstract

生育環境の急激な変動に対して樹木は、草本植物にはない多種多様な環境ストレスに対するマルチ分子機構が存在すると考えられているのが、その詳細な研究はあまり行われていない。このために、樹木には草本植物とは明らかに異なる光合成の環境適応機構について、樹木特異的な環境応答(4種類の色素サイクルと1種類の光利用効率制御因子)について、個々の機能・生理を明らかにすると共にこれらを相互に関連付けを行いその生理的な機能について調べた。
本年度は、4種の色素サイクルの内、2種の色素サイクル【Lxサイクル】,【緩慢なVioサイクル】について青森ヒバ,モミ,ユズリハ,カキ,ゲッケイジュについてクロロフィル蛍光や葉内代謝産物、色素類を中心に測定を行った。その結果、反応中心を構成する色素であるβ-カロチンが他の色素と置換する割合が大きいものがLxが存在する割合が大きい傾向にあった。しかし、Lxの具体的な機能解析までには至らなかった。緩慢なVioサイクルについては、草本植物のホウレンソウとの比較実験から、陸上高等植物の主な熱散逸機構であるVioサイクルとは異なり、色素組成と熱散逸とには大きなギャップが見られた。詳しい解析は次年度以降に行う予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

樹木が本来持ち合わせている環境適応機構の解明を行うために、樹木特異的な環境応答である色素変化について注目し、4種の色素サイクルを明らかにすることで樹木が生き残るために備えた特異的な環境適応機構を解き明かすことを目的とした。
本年度は、4種のサイクルのうち2種についてそのサイクルの機構やそれらが光合成のエネルギー利用効率に与える影響について調べた。実際に、分子機構の解明までを行うことでその生理的な作用やメカニズムを特定できるが、そこまで到達できなかった。しかし、次のステップとなる色素サイクルの応答性などについての結果は得られており、本年度における初期の目的の80%は達成できたと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

草本・木本植物の光合成の大きな違いとして、葉緑体へのCO2供給速度があり、光合成速度を決める重要な因子である。細胞間隙に接する葉肉細胞の表面積,CO2の拡散抵抗(内部コンダクタンス)を光合成律速因子の指標の一つとして、色素変換、光利用効率との関係を明らかにする(現有LiCor, Li-6400使用)。そして、樹木での光合成の適応機構の多様性の意義についても考察する。
樹木光合成の多様な制御機構の樹種間分布を調べるために亜寒帯~亜熱帯地域での樹木約100種、草本50種を対象として測定を行う。樹木特異的な色素応答・生育地域・気候・樹種間分布の相関図を作成して解析する。 ゲッケイジュ,モミ,キャラボク等の常緑樹を用いて「4種の特異的色素サイクル+1種の未知制御」5種の樹木特異的環境応答によるストレス耐性の定量化を行う。色素組成を調整した樹木の成熟葉に低温・乾燥ストレス
などを与ええ、光化学系の阻害および回復過程(光合成活性,光合成タンパク質の回復速度,光合成電子伝達系)を指標としてストレス耐性の評価を行う。スーパーコンプレックス、qL,NPQ,ФPSII,ETR,Fv/Fm, openФPSII,excessを求め、ストレス耐性の定量的評価を行い解析する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度に使用する研究費は、多くの樹種を対象としたスクリーニングに用いる分析用の溶媒が大量に必要となることから、分析用有機溶媒に用いる。

  • Research Products

    (2 results)

All Other

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 複層林ヒバ下木の光合成色素の量的組成から見た適正相対照度

    • Author(s)
      橋本良二・川人玲子・白旗学・星比呂志・柴田勝
    • Organizer
      東北森林科学会第17回大会
    • Place of Presentation
      秋田県生涯学習センター
  • [Presentation] 樹木ミトコンドリアの呼吸が葉緑体の光 合成成電子伝達に与える影響

    • Author(s)
      柴田勝,坂牧康平,赤澤真一
    • Organizer
      第124回 日本森林学会年会
    • Place of Presentation
      岩手大学

URL: 

Published: 2014-07-24  

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