2012 Fiscal Year Research-status Report
バイオマス造林樹種ヤナギの高い二酸化炭素吸収能の機構解明
Project/Area Number |
24580231
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
上村 章 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, 主任研究員 (30353600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都木 玄 独立行政法人森林総合研究所, 植物生態研究領域, チーム長 (40353601)
原山 尚徳 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, 主任研究員 (60353819)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヤナギ / 木質バイオマス / 光合成 |
Research Abstract |
研究の目的は、北海道において、その高い生産性からエゾノキヌヤナギとオノエヤナギがバイオマス生産樹種として着目されている。高いバイオマス生産を導くメカニズムを解明し、より高度にその能力を発揮させるための基礎的知見として生理生態学的特性を明らかにする。 本年度の実施事項は、北海道下川町のヤナギ栽培試験地の維持管理と微気象観測センサー(日射強度、雨量、気温、湿度、土壌水分、風速)を設置し、成育環境条件を把握できるようにした。また、これまで成育しているヤナギとは別に、本研究用に新しく穂木を植栽した。札幌市豊平区羊ヶ丘にある森林総研北海道支所苗畑においても、同様の微気象観測センサーを設置し、下川町の植栽地との環境条件の違いを把握できるように準備した。支所苗畑においては、2011年春に穂を挿し着け成長させた。2012年春に挿し着けた個体半分の伸びた枝を全て刈り取り(台切りし)、萌芽枝を成長させる個体を作った。萌芽枝個体と1年枝から続けて成長させた個体を用いて、8月にガス交換速度の日変化を日の出から日の入りまで、携帯型光合成蒸散測定装置(LI-6400)を用いて測定した。 結果として、成長量(バイオマス量)、ガス交換特性にエゾノキヌヤナギとオノエヤナギの間に大きな違いはなかった。エゾノキヌヤナギは、オノエヤナギと異なり、葉の裏面に多数の毛を持ち、両種で環境応答に違いがあることを予測した。両樹種とも、最大純光合成速度は15~20µmol m-2 s-1と他の広葉樹種と比べて高い値であった。両樹種とも、Ball-Berry indexと気孔コンダクタンス(大気環境と気孔の開き具合)の関係、台切り処理の有無で違いは見られない等、今回の試験では両種の間に生理生態的特性に違いを見いだせなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植栽時期の異常気象(少雨)により、植栽した穂木が生育しなかったため、一部予定していた実験ができなかったが、これまでに育成実験していいる個体を用いて、おおむね本年度必要なデータは得た。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、ヤナギにとってストレスの無い条件下での測定データが採取できたので、次年度は、土壌乾燥時や大気乾燥時(大気飽差が大きい時)等、ストレス環境下での生理反応の環境応答性を明らかにする。 札幌市羊ヶ丘の森林総合研究所の苗畑のヤナギと実際の栽培事業候補地である北海道下川町の栽培地のヤナギの成長差やその原因を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
北海道下川町の試験地の維持管理、測定のために旅費が必要である。 今年度設置したセンサーの一部が破損したので新たに購入する。 測定分析のための試薬を購入する。
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Research Products
(2 results)