2012 Fiscal Year Research-status Report
可視光-近赤外光反射画像を利用した新たな樹木細根動態評価手法の確立
Project/Area Number |
24580235
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
野口 享太郎 独立行政法人森林総合研究所, 四国支所, 主任研究員 (70353802)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多重分光画像解析 / 生細根 / 枯死細根 / マルチバンドイメージスキャナ |
Research Abstract |
本研究は、樹木細根の持つ可視光-近赤外光反射特性を利用して細根(直径2 mm以下の根)の生死判別を行い、細根生産速度、枯死速度、分解速度を評価することを目的としている。本年度は、ヒノキ細根の可視光-近赤外光反射特性を解析し、細根の生死判別を行うための手法について検討した。 高知県の35年生ヒノキ人工林の表層土壌から細根試料を採取し、細根の色や弾性などを指標とした従来の方法により生細根と枯死根に分別した。これらの細根試料をマルチバンドイメージスキャナ(アイメジャー)によりスキャンし、波長600 nm、700 nm、800 nm、905 nmにおける生細根および枯死細根の反射画像を得た。 得られた細根の画像を多重分光画像解析ソフトウェア(Multispec、Purdue大学)により解析した。画像の中から、あらかじめ従来の方法で分別した生細根、枯死細根の領域を選んで生死判別の基準とし、これらの細根について生死の自動判別を行った。その結果、生細根の7割が生細根として記録されたが、残りの3割は枯死細根として記録された。枯死細根については、9割が枯死細根として記録された。生細根の判別エラーは齢が進んだと思われる2次根およびそれよりも基部に近い高次根で見られ、先端部分である1次根は概ね正しく認識されていた。 また、根圏の分光画像計測に関する既存研究を調査し、植物科学の最前線(BSJ-Review)に総説として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の検討課題であった、マルチバンドイメージスキャナ、多重分光画像解析ソフトウェアを利用した生細根、枯死細根の解析手法は、今後、生細根量、枯死細根量の評価に利用できる。 生細根の判別に改善の余地があるため、その点については、今後も精度の向上に向けた研究を続ける。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、平成24年度に確立した可視光-近赤外光反射特性を利用した細根の生死判別技術を利用して、35年生ヒノキ人工林における生細根、枯死細根の経時変動パターンを明らかにする。また、これにより得られたデータから、細根生産速度と細根ターンオーバー速度を算出する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用したバンドパスフィルタの一部をレンタルとしたことなどにより次年度使用額が生じたが、これについては、今後、成果発表やバンドパスフィルタの追加購入などで使用する。
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Research Products
(2 results)