2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580237
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Forest Economic Research Institute |
Principal Investigator |
大塚 生美 (財)林業経済研究所, その他部局等, 研究員 (00470112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
餅田 治之 (財)林業経済研究所, その他部局等, 名誉教授 (80282317)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 森林経営 / 森林投資 / 信託 / 税 / 補助金 / 機関投資家 / 立木価格 / 世代間衡平 |
Research Abstract |
近年,我が国では,長期にわたる立木価格の低迷で,所有者の森林経営からの撤退が顕在化している。一方で,国家財政が逼迫する中,森林整備や再造林の費用負担の在り方やその担い手について,国民共通の理解が求められている。そうした中,今日では世界の森林経営が第三者に経営信託されている実態がある。そこで,本研究では,主要国の森林経営信託の事例について信託法理等を重ねて類型化すること,育林投資について,誰が,どのような資金で,どのように実行しているかの実態を明らかにすること,森林財産の性格分析を行うこと,その延長上に我が国における森林経営の信託化の可能性を考えることを目的とした。 本研究課題の先行研究にみる到達点と課題の現状についてみると、外国資本による森林取得,森林・林業関連法制度の改正,海外における機関投資家による森林投資の活発化等を契機として,森林投資や森林信託研究が再燃しているものの、森林科学の専門領域においても実態把握と仮説の段階にあり,まだ充分にその性格の検証がなされていない。しかし,森林への補助金制度,税の優遇措置に代表されるように,地球規模の環境問題への対応,我が国における縮小社会段階への移行や財政事情を前に,森林経営の世代間信託,いわば森林整備の担い手と費用負担のあり方は,森林経営に内在する公共的性格と私的性格を紐解く重要な課題である。 本研究期間は3ヶ年とし、課題を明らかにする上で、(1)関連文献収集整理,周辺論文レビュー、(2)欧米日の比較による日本の特殊性の抽出、(3)森林経営の信託技術の類型化、(4)育林投資メカニズムの解明と我が国における経営信託化の可能性の検討、の4つの枠組みを設定した。初年度は、研究分担者・連携者と、本研究課題に関する日本の到達点を現地調査ならびに信託会計の勉強会の開催によって確認するとともに、海外では、アメリカ北西部地域の調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度初年度は、研究メンバーが集まり、まず、本研究課題に関する日本と機関投資家による森林投資や森林投資信託が活発化する契機となったアメリカを対象として、その到達点について現状把握を行った。国内の現地調査では、信託的な動きをしている事業体や、新たな育林経営を展開している事業体を選定し、主に、①信託や新たな長期施業受委託に関する所有者との契約内容、②育林技術革新とその経営上の意味、③立木価格上昇の見通し、④計画的・持続的生産を可能にする上での鍵、⑤経営安定化のために最も重要だと思われること、アメリカの調査では、①近年の森林管理・造林の政策・制度,②税の優遇措置や助成制度,③人工林経営の内部収益率,④社会経済の指標となる統計資料など関連情報を収集した。 その上で、森林組合信託制度に詳しい会計士を招き、信託会計について勉強会を実施した。以上から、初年度は、国内の森林信託は財産信託の性格を持つこと、一方で、アメリカの信託は、金融市場における投資の性格を持つ信託であることがはっきりしてきた。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカに代表される機関投資家による森林投資の世界動向について、2012年にFAOがレポートを公表した。これまで、機関投資家による森林投資は、ニュージーランドにおいて高い成果をあげていることは報告されてきたが、小規模森林所有や公有林を中心とした所有形態から成る欧州での展開は困難とされてきた。だが、FAOのレポートでは、その困難とされてきた欧州においても機関投資家による森林投資が拡大傾向にあるという。さらに、新興国の今後の動きにも注目している。 本研究課題では、欧米日比較によって、「信託」というキーワードに惹きつけて日本における世代間衡平に寄与する森林経営を検討することが目的である。このため、初年度に実施した調査結果の分析や収集した資料の解析、信託会計の継続的な勉強会に加え、信託法理や信託制度についての勉強会を重ね、生産の持続性にどのように貢献しているかといった観点から、欧米日における森林経営の世代間衡平の性格を仮定し、今後予定している欧米における調査内容を検討し、整理する。 最終年度では、日本における森林経営の世代間衡平に寄与する「信託」制度のあり方と課題について纏める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、国内における現地調査と資料収集、勉強会を中心とする。特に、初年度、情報収集した資料の中には、高額な資料もあるが、今後の調査において、基礎的情報を得る重要な資料となるため、海外調査に先立ち、これらの資料を収集し、分析する。 主な研究費の使用は、①年2回程度の国内現地調査への研究メンバー全員の旅費(40万円)、②年4回程度の勉強会の講師謝金・旅費、研究メンバーの旅費(40万円)、③資料の購入(70万円)、④欧州調査旅費(80万円)、⑤CP解析ソフト等備品(30万円)。
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Research Products
(2 results)