2012 Fiscal Year Research-status Report
川上側林業ビジネスモデルの定式化とそれに向けた政策のあり方に関する研究
Project/Area Number |
24580238
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Forest Economic Research Institute |
Principal Investigator |
餅田 治之 (財)林業経済研究所, その他部局等, 名誉教授 (80282317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 生美 (財)林業経済研究所, その他部局等, 研究員 (00470112)
藤掛 一郎 宮崎大学, 農学部, 教授 (90243071)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 育林経営 / 林業生産構造 / 地域森林管理 / ビジネス |
Research Abstract |
今日わが国の木材市場では国産材が見直され、川下側の加工・流通システムについては、工場の大型化を背景として、外材と競争をしても引けを取らない生産・供給システムが形成されつつある。しかし、木材を供給する川上側の森林所有とそれに基づく経営は依然として小規模・分散的で非効率のまま変わりなく、素材生産も間伐を主体とした消極的な生産形態が維持されている。その結果、大型化・効率化を果たした川下側の生産システムと、従来のまま大きな変化のない川上側の生産システムの間のギャップは次第に大きくなってきている。本研究は、大型化を背景に定着しつつある川下側のビジネスモデルに対して、川上側についてはどのようなビジネスモデルを描くことができるか、あるいは描くべきか、その姿を提示することを目的としている。 2000年代に入り、林野庁事業が後押しする形で、川下側に限ってみると、国際競争力を持った林業のビジネスモデルが出来上がりつつあると見ることができる。これに対して原木を供給する川上側は、森林資源の充実は目を見張るものがあるにもかかわらず、所有・経営規模の零細性は従来のまま変わらず、素材生産も、政策的な後押しもあって、消極的な間伐中心の生産体制が維持されている。その結果、川下側のビジネスモデルと川上側の林業生産構造との乖離はますます大きくなり、両者の均衡ある発展は阻害されている。言い換えると、川下側の構造的変革により国産材に明るい光が見えるようになってきたのに対し、川上側は相変わらず未来への展望を提示することができないままなのである。 研究期間内に解明する具体的課題である,(1)新流通・新生産で示された川下側林業ビジネスモデルの特徴と課題の解明,(2)川上側林業ビジネスモデルの定式化,(3)「森林・林業再生プラン」評価と政策提案に向けて,現地調査と研究チームによる意見交換を重ねている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の初年度は、研究チームである5人のメンバーが集まり、まず、調査地の選定を行い,調査地の担当を確認した。また,出来るだけ,調査にはメンバーが集まることを原則として,現地において課題に関わる意見交換を行った。平成24年度は,資源が成熟したことで,我が国の国産材供給を牽引した九州と北海道において,大手林産会社,森林組合,民間事業体の調査を終了した。 主なヒアリング項目は,①現在、導入している育林技術の内容と特徴,②その育林技術の経営における意義・意味について,③実際の林業の現場での育林技術と伐出技術の有機的・合理的連携の在り方,④木材の販売価格を上昇させるための方策, ⑤経営安定化のために最も重要だと思われること,になる。併せて,関連情報を収集した。また,調査対象には,森林信託に類似する展開を示した森林組合があったことから,森林組合信託制度に詳しい全国森林組合連合会会計顧問を招き、信託会計について勉強会を実施した。 以上から、初年度は、少子化・高齢化にともなう限界集落における新たな地域森林管理と,一方で,素材生産業者が林地を自ら集積し,育林経営に参入するビジネスモデルの展開の一端を確認した。さらに,自社有林を持つ商社が育林コストの低下に取組む例も見られており,次年度以降も,こうした新たな動きを確認しつつ,当初の目的に接近する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度も,平成24年度に続き,研究メンバーが集い,国内の現地調査と資料収集、勉強会を実施,意見交換を重ねる。現地調査は,東北地方,紀伊半島地方,四国地方,中国地方,東海地方を予定している。調査内容は,平成24年度と同じく,育林経営の新展開,価格問題,軽戦略となる。 平成24年度,25年度の調査結果に基づき,川上ビジネスモデルの定式を仮定する。同時に,皆伐適地マップを作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も、研究メンバーが集い,国内の現地調査と資料収集、勉強会を実施,意見交換を重ねる。主な研究費の使用は、①5ケ所の国内現地調査旅費(100万円)、②年2回程度の勉強会を兼ねた打合せの講師謝金・旅費、研究メンバーの旅費(40万円)、③資料の購入(30万円)、④PCソフト等(20万円),⑤学会等への参加(20万円)。
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