2013 Fiscal Year Research-status Report
樹木特有の新規環拡大反応であるトロポロン生合成機構の解明と応用
Project/Area Number |
24580248
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 弘毅 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (90264100)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 祐司 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30236921)
|
Keywords | ヒノキチオール / トロポロン / テルピノレン / メキシコイトスギ / GCMS / 重水素ラベル / エポキシ |
Research Abstract |
テルペノイドに関しては未だ例を見ない共役七員環の合成メカニズムについてメキシコイトスギ培養細胞をモデル植物として研究を行ってきた。主に、重水素ラベルを施したテルピノレンを投与することでテルピノレンが中間代謝物であることを確認し、且つ、テルピノレンと最終生成物であるヒノキチオールの間のステップに有ると思われる化合物をGCMS等を使いラベル化による分子量変化から網羅的な探索を行った。 テルピノレンのメチル基2つの水素を重水素に交換した+6のテルピノレンを投与した結果、テルピノレンの代謝物としてヒノキチオールとテルピノレンの粗酵素反応の結果から既に中間代謝物として予想していた1,6-epoxy-4(8)-p-menthen-2-ol(EMO)を検出した。よってEMOが中間代謝物である可能性が高くなった。また、p-cymeneの一酸化物と思われる生成物を検出した。この生理的意義は不明である。 上述EMOを基質として粗酵素反応による次ステップの中間体の検出を試みた。エポキシの開環によるトリオール構造を想定していた。P450酵素による酸化的開環についてミクロソーム画分を調製し予備的に行ったが、特に明白な構造の化合物は確認されなかった。 今後はEMO以降の代謝物について、6d-テルピノレン投与、これから合成を試みる重水素ラベル化EMO投与を行う。テルピノレンの取り込み率が低いために培養条件の検討が必要かもしれない。また、ハイドロキシラーゼなど種々の酵素の種類を想定したEMOの粗酵素代謝について詳細を調べていく所存である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
6d-テルピノレン投与実験で1,6-epoxy-4(8)-p-menthen-2-ol(EMO)を検出したことは、かねてよりこの物質がヒノキチオールの中間体であることを予想していたのでそれを証明することができたと考えられる。しかしながら、EMOのラベル化物が検出されたにもかかわらず、それ以降の代謝物について明快な知見を得ることができなかった。テルピノレンは取り込み率が低い物質で有ることから、ヒノキチオールのラベル率が上がる培養条件は検討していたが、中間代謝物に対してはそれが適切であるとは限らない。したがって、さらに多種の培養条件を検討する必要があった。代謝物の熱的安定性も不明であることからLCMS導入も必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
テルピノレンは取り込み率が低い物質で有ることから、ヒノキチオールのラベル率が上がる培養条件は検討していたが、中間代謝物に対してはそれが適切であるとは限らない。したがって、テルピノレン、EMOのラベル化物質についてはさらに多種の培養条件を検討する。代謝物の熱的安定性も不明であることから分析においてはLCMS導入も必要である。 粗酵素によるEMO以降の反応についてはP450反応の諸条件を検討しなおすことと、ハイドロキシラーゼについて検討する予定である。 さらに可能であればRNA-seqを用いた遺伝子面からの解析に着手したい。
|
Research Products
(1 results)