2012 Fiscal Year Research-status Report
汎用水中カメラを用いたリアルタイム・ターゲットサイズ計測手法の開発
Project/Area Number |
24580254
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤森 康澄 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (40261341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 潤 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (10292004)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水中画像計測 / デジタルカメラ / レーザー |
Research Abstract |
本年度は,屋内水槽を用いた実験により装置の構成を決定するとともに計測手法の妥当性の検証を行った。詳細は以下のとおりである。 直径2.6 mの円形水槽内に1.8×1.2 mの長方形の実験区画を作成し,水深を0.45mとしてその中に装置を設置した。装置はデジタルカメラ(解像度3840×2160)とレーザーユニット(波長532nm)により構成された。水槽内においてサイズの既知である模型対象物(20×20 cmの平板)をレンズからの距離を変化させながらレーザー光軸上を移動させて撮影し,対象物のサイズ推定のための校正式の各パラメータを求めた。次に,同装置によるサイズ計測の精度を確認するために,同水槽において実際の魚を用いた計測実験を行った,供試魚として金魚(平均体長13.6 cm)6尾を用意し,1尾ずつ水槽内に放流して各個体について20回レーザー光を通過するまで撮影を行った。撮影後に供試魚に麻酔を施し,体サイズ(体長・体高)を計測した。また,撮影画像より,供試魚がレーザーを通過した際の静止画を抽出した。その後,サイズ推定を半自動的に行うため,先に得られた校正式に基づく計測ソフトウェアをVisual Studio 2008 (Microsoft)により作成し,得られた画像から金魚の体サイズを計測した。同ソフトウェアによる体サイズの計測結果は,直接計測された値とよく一致していた。なお,カメラからの距離が遠くなると誤差は増加する傾向にあった。これは,1画素あたりの実距離がカメラからの距離にともない大きくなり,分解能が低下するためである。しかし,計測誤差は最大約5%,平均で約4%であったことから,十分実用的な範囲と判断された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の計画は,計測システムの完成を目的とした水槽実験による①計測手法の妥当性の確認と②構成機器の決定ならびに③試作機の設計への着手であった。 ①と②については,計画通りの結果を得ることができており,③についてもすでに設計を始めている。なお,レーザー出力の決定のための懸濁状態下での光量減衰に関する検討については,実験による確認は行えなかったものの,現状で入手可能な最大光力のレーザーユニットを利用することで,対応できている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度の結果をもとに耐圧100m以深対応の試作機を製作する。また,動画画像からの計測の自動化を行うためのソフトウェアの製作ならびに実際の海洋での本装置の有効性について検討する。 海上試験:製作した試作機を現有のROV(Remotely Operated Vehicle)に装着し,北海道大学附属練習船により海中での画像撮影を行う。また,養殖生簀等における計測実験も実施し,実際の海中での計測データを取得する。海上実験では,計測対象となった魚類の採集も行い,画像データとの比較から計測精度を調べ,本方法によるサイズ推定の実用性について検証を行う。 計測ソフトウェアの開発:撮影時の画像より,任意の物体のサイズをリアルタイムに計測・記録するためのインターフェース・ソフトウェアを完成させる。また,海上実験の結果を基に随時ソフトウェアの改良を行う。さらに,静止画計測に加えて遊泳中の魚類のレーザー光通過時の移動計測を目的とした対象物の形状抽出のためのスキャニング手法について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度の研究費のうち物品費は,主として,試作機の製作に使用する。内訳としては,高深度での使用を考慮したカメラの耐圧筐体の製作費および耐圧レーザーユニットの製作費である。また,その他として映像データ記録用媒体(高容量ハードディスク等)に使用する。 旅費については,試作機を用いた海上実験(本学練習船における実験,養殖施設での実験)にともなう旅費および成果発表のための学会参加にともなう旅費に充当する。また,人件費・謝金は,上記の各実験における実験補助者(各7日程度,各2名)の使用に供する。
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