2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580265
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
前川 行幸 三重大学, 生物資源学研究科, 特任教授 (90115733)
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Keywords | コアマモ / デンプン / 発芽 / 生長 / 移植 / も場造成 |
Research Abstract |
本研究ではコアマモの生物学的、生態学的特性を室内培養実験で明らかにし、それを基にして現場海域での実証試験を通じてコアマモ場造成技術を開発することである。本年度はこれまで開発したコアマモの室内培養から、コアマモ草体の生長に伴う光合成産物の蓄積と消費を測定し、コアマモ移植の際の基礎的知見を得ようとした。また、実海域でコアマモの移植実験を行い、その経過を観察した。 室内培養実験より、コアマモは地下茎のみにデンプンを蓄積し、主に地下茎からのシュートの発芽、伸張により群落を維持していることを明らかにした。デンプン含有率は3-10%であり、シュートの発芽、生長が活発な部位においてデンプン量は少なく、新シュートの形成にデンプンが消費されていることがわかった。また、15-20℃で新シュートの形成率が高いこともわかった。スクロースは24-45%と高い含有量を示し、新しいシュートでその含有量が少なかった。これらの結果から、コアマモは葉で作られた光合成産物をデンプンとして地下茎に蓄え、スクロースに分解して草体全体に輸送することにより群落を維持していると考えられた。 2013年10月英虞湾において、水温が20℃程度に低下する時期にコアマモの移植実験を行った。群落から直径25cmを底質ごと採取し、コアマモが全く生育していない水深0-1mの湾奥部に移植した。移植直後は密度が減少したが1-2月の冬期には地下茎からのシュートの発芽。生長が活発に見られ、密度は移植時の2倍の4500本/㎡に達し、移植によるコアマモ場の造成が可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画で示した室内培養によるコアマモの発芽、生長、分枝の生長様式解明を遂行することができ、現在10-30℃の5℃段階での培養と発芽、生長に伴う光合成産物の蓄積と消費の解析を行っている。コアマモ種子からの発芽、生長は実験室段階では可能であるが、実海域での種子の大量確保が困難であり、群落造成には移植に頼らざるを得ない。種子からの発芽体を培養することにより、種苗を生産し、実海域に移植する方法、もしくは既存のコアマモ群落から少量の地下茎を採取し、それを移植する方法が簡便かつ実際的であると考えている。そこで、実海域でのコアマモ移植を試みたところ、移植直後は密度が減少するものの、その後移植下部は活発に分枝し、急速に密度が高くなった。この移植時期は室内培養実験から最適温度を求めることにより、実用化に向け大きく前進することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
コアマモの光合成産物の蓄積は培養温度により大きく変化するものと予想される。すなわち、季節による生長、成熟、衰退期は温度によってコントロールされると考えられる。そこで、水温を10-30℃に変化させて光合成産物と生長、成熟および分枝等の生長様式と温度との関係を明らかにする。これにより、コアマモの移植最適時期の決定、および管理技術を確率することができる。
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Research Products
(1 results)