2014 Fiscal Year Annual Research Report
LED集魚灯設計スペックに対応する水産生物の視感度評価方法の確立
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24580276
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
安樂 和彦 鹿児島大学, 水産学部, 准教授 (50274840)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 魚類視覚 / 桿体視細胞 / 分光吸収 / 網膜 / 集魚灯 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は任意の放射波長を設計可能なLED灯を用いた集魚灯開発に寄与する漁獲対象魚類の分光視感度特性を計測するシステム構築を行い、それを用いて多魚種の視感度を明らかにするとともに、得られた分光視感度曲線を用いて、灯具開発者が利用可能な設計分光放射エネルギーの魚類視覚への作用効率を推定する方法の構築を目的とした。 本年度は、昨年度までに完成させた計測システムを用い、集魚灯漁業対象魚種(カタクチイワシ、マアジ、カタボシイワシ)および水産有用種(クロメバル、マダイ、クロマグロ、トラフグ、ギンガメアジ、ヒラスズキ、アカグツ、ニホンウナギ、Anguilla bicolor bicolor)の計12魚種の分光視感度を明らかにした。分光視感度には計測対象魚種の生息環境に応じた相違が見いだせた。淡水域および沿岸性の魚類では暗所視分光視感度のピークは>505nm、沿岸・外洋表層性の魚類では500-505nm、外洋性および深海性の魚類では<500nmに出現した。 研究室がこれまでに計測し保有する沿岸域および外洋域における海中の分光放射照度分布を基に各海域に生息する魚類の最適感度波長を推測すると、概ね今回計測した各魚種の分光波長感度に合致することが明らかとなり、生息環境と視覚発達の関連性を定量的に評価する根拠を得た。 本研究で得た各魚種の分光視感度を示す曲線式を求め、任意波長分布を持つ灯具により放射するエネルギーが対象魚種の視覚に作用する効率を求めるワークシートを作成し、集魚灯メーカ1社に配布し試用段階にある。 省エネを背景にLED集魚灯の開発が進められているが、本研究により、魚類分光視感度を計測・推定する方法を従来法と比較して格段に簡易化できたことで、さらなる対象魚種の視覚特性に応じた灯具開発を効率的に行うことに寄与すると考えられる。
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Research Products
(3 results)