2013 Fiscal Year Research-status Report
シオミズツボワムシのストレス耐性の動的変化と増殖不良の予知
Project/Area Number |
24580281
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
吉永 龍起 北里大学, 水産学部, 講師 (30406912)
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Keywords | シオミズツボワムシ / ストレス応答 / 次世代シーケンサ |
Research Abstract |
シオミズツボワムシは,海産動物の初期餌量として不可欠な動物プランクトンである.一方,その大量培養では増殖不調や突然の大量斃死といった問題が起こる.そこで本課題は,シオミズツボワムシのストレス耐性に着目し,その動的な変化を明らかにすることを目的とした.GS FLX+(長鎖型;Roche)およびHiseq2000(短鎖型;Illumina)の 2 つの解析手法で得られた配列情報(約97万リード,長鎖型;約5.5億リード,短鎖型)を基にリファレンスとなるコンティグ配列セットを作製した.その結果として得られた34,914 コンティグ配列についてBLASTX 検索に供したところ,19,835コンティグについては有効なアノテーション情報が得られた(e-value < 10^-4).そこで,モデル生物においてストレス応答や老化に関連する遺伝子として報告されている計44種類のタンパク質と同一性を示すコンティグを探索した結果,抗ストレス遺伝子群の発現を制御する転写因子である DAF-16や,ゲノムの安定化に関わるヒストン脱アセチル化酵素SIR-2など計26種類のタンパク質と同一性を示すコンティグが得られた.これらの分子は真核生物で高度に保存されたものであり,ストレス応答分子として有用であると考えられる.そこで,次年度はこれらの分子の発現量を転写産物および翻訳産物のレベルで定量する測定系を確立し,シオミズツボワムシの個体数の変動過程における発現動態を明らかにして,本課題の目標を達成する計画である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シーケンサにより配列データを得る段階までは計画通りであったものの,得られた配列の精度を高める作業には当初の計画よりも時間を要した.一方,結果的に得られたコンティグ配列は十分な量と質を備えたものであり,当初の期待よりも多くのストレス応答分子群を同定できている.
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Strategy for Future Research Activity |
本課題では増殖不調の予知実験を水産総合研究センタの協力のもとで行う計画を立てていたが,採択後に予定していた能登島事業所の廃止が決定した.一方,代替の施設として神奈川県内水面試験場が所有する大量培養槽を利用できることとなったため,研究の遂行には支障がない.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
配列データの解析に当初の予定よりも時間を要した.これに引き続いて行う予定であった実験が遅れたため,2年目に予定していた支出が最終年度にずれこんだ. 2年目に予定していた実験を3年目の前半に行う計画に変更することで,当初の予定通りに遂行する.
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