2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580285
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
平井 俊朗 帝京科学大学, 生命環境学部, 教授 (30238331)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 性分化 / 生殖腺 / 遺伝子 / 成長 |
Research Abstract |
ニシキゴイ偽雄(XX)と通常雌(XX)との交配により、遺伝的全雌群を作成した。孵化後約1ヶ月の段階で体サイズによる選抜を行い、大型魚については屋外池における低密度・高給餌飼育、小型魚については屋内水槽における高密度・給餌制限飼育を行い、同腹稚魚から成長速度に差がある二群を作出した。これらについて孵化後2,3,4,6ヶ月より、25℃恒温条件下で初期体重あたりの投与量が等しくなるようにアロマターゼ阻害剤を含む餌を与えた。投与開始4ヶ月時点で処理区から一定尾数についてアロマターゼ阻害剤投与を終了し、飼育を継続している。処理終了時に一部の個体について生殖腺の状態を確認したところ、高成長群では孵化後2,3,4ヶ月投与開始区については発達した精巣が観察され、完全な性転換が確認された。低成長群では精巣化は確認されたが、高成長群よりも発達は悪かった。孵化後6ヶ月投与開始区では高成長群のみでの実験となったが、生殖腺全体で精巣化が確認された一方で、卵巣組織が残留しており、性的可塑性の低下が示唆された。今後、処理開始8,12ヶ月で処理終了と生殖腺状態観察を実施するとともに、処理終了後一定期間通常飼育を行った後の生殖腺の状態を観察する。精巣分化のマーカーとしてGSDF(生殖腺体細胞因子)に注目し、コイGSDFに対する特異抗体を作成した。これを用いて遺伝的雄の精巣分化過程におけるGSDF蛋白質の消長を調査したところ、精小嚢(seminal lobule)形成時に支持細胞(セルトリ細胞)の内腔側に強い陽性反応が確認された。同様の現象は遺伝的雌の人為性転換過程でも観察され、GSDFが精小嚢形成に重要な役割を果たすと考えられることが示唆された。今後、この抗体を分子プローブとして遺伝的雌における性転換(精巣分化)の状況を詳細に調査する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝的雌については当初の研究計画に従って進行している。長期間の飼育実験を含む研究計画であり、現在も飼育実験が継続されており、今後順次研究成果が得られる予定である。一方、遺伝的雄に関しては実験魚の供給を受けている新潟県内水面水産試験場における遺伝的全雄群の生産時に事故が発生したため、実験魚を得ることができなかった。このため、飼育実験の開始を1年遅らさざるを得なくなっており、今後研究計画の一部見直しを検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に飼育実験が進行しており、ニシキゴイ養殖業において有用性が高い遺伝的雌の人為性転換(精巣化)を中心に研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
飼育実験補助アルバイトの謝金として30万円を計上し、飼育機材、試薬、消耗器具類の費用として70万円を計上する。
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Research Products
(3 results)