2014 Fiscal Year Research-status Report
野菜類の水銀吸収阻害効果を利用した養殖クロマグロ水銀レベルの低減化
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24580286
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
安藤 正史 近畿大学, 農学部, 教授 (80247965)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水銀 / 餌 / システイン |
Outline of Annual Research Achievements |
水銀の排出促進を目的として,水銀の排出促進効果をもつといわれるシステインを用い,飼料中のシステイン濃度と水銀蓄積の関連について調べた。 【方法】市販のグッピー(オス,体重約0.3g)30尾を30cm水槽(15L)に収容し,水温25℃にて4週間まで飼育した。飼料におけるシステイン含有量は0.01から10%まで設定し,メチル水銀濃度はいずれも1ppmとした。給餌量は魚体重の1%量/日とした。魚体水銀測定サンプルは週に1度,また底面にたまる排泄物は2日に1度回収して1週間分をまとめ,それぞれサンプリングした。試料は60%硝酸により分解し,冷蒸気原子吸光法により総水銀量を測定した。 【結果】飼育期間中に有意な体重の変動は認められなかった。魚体の水銀濃度はシステインを含まない対照区では飼育4週目までに開始時濃度の約2倍にまで上昇した。一方,システイン添加区の場合,1%および10%添加区では4週目において対照区の約3分の2の水銀濃度となり,有意差が現れた。さらにシステイン濃度の低い0.1%および0.5%添加区でもやはり4週目において対照区の約3分の2に濃度上昇が抑えられたが,0.01%および0.05%では対照区との間に有意差は見られなかった。この結果より,この給餌条件下ではシステイン濃度0.1%であれば有意な水銀濃度上昇の抑制が可能であると思われた。この結果から,システインをより多く含む野菜類や水産廃棄物の選定が次の段階における課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水銀吸収阻害効果をもつ野菜のスクリーニング方法は並行して確立したので,その方法を用いて野菜類の絞り込みをはかることができる。また,システインの効果も明らかとなったので,野菜類を選定する指標が明確になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
特に有効な成分を特定し,単離した後に魚を使った飼育実験により実証実験を行う。
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