2012 Fiscal Year Research-status Report
モノクローナル抗体とPCRによる有害赤潮藻ヘテロカプサ殺藻ウイルス定量法の開発
Project/Area Number |
24580290
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
中山 奈津子 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (20612675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長崎 慶三 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (00222175)
浜口 昌巳 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (60371960)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Real-time PCR / ELISA / HcRNAV / H. circularisquama / Quantification |
Research Abstract |
ヘテロカプサ(Heterocapsa circularisquama)赤潮の終息にはウイルスHcRNAV感染が重要な影響を与えていることが示唆されている。今後、HcRNAV を用いた赤潮防除法を確立するためには、接種試験と並行してHcRNAV を定量し、精緻な検証データを蓄積することが必要不可欠である。しかしながら従来の定量法は感度が低い上、測定に1 週間以上要するため、現場への適用は困難である。そこで、本年度は、現場環境での持続的な利用を目指し、迅速かつ正確な定量法としてリアルタイムPCR法と酵素抗体法(ELIASA ; Enzyme-linked Immunoadosorbent Assay)の2 法を確立することとした。 HcRNAVは感染性によって3つのグループに分けられる。リアルタイムPCRにおいては、異なる感染タイプの代表株HcRNAV34、HcRNAV109、HcRNAV659のゲノム情報からプライマーとプローブを作製し、HcRNAVに特異的であり、かつ、3つのサブタイプを網羅的に検出する系を確立した。本標識セットは、2つの領域を同時に検知するため、非常に特異性が高く、夾雑物の多い環境試料中からの正確な定量に適用可能であると期待される。 ElISA法については、HcRNAV34の主要カプシドタンパク質のリコンビナント抗原を用いて作製したウサギポリクローナル抗体のHcRNAV34株に対する反応性を確認した。さらに、測定系の確立を目指し、最適タンパク溶出バッファーや抗体濃度を決定し、他のサブグループ代表株2株(HcRNAV109, 659)に対する交叉反応性についても検討した。その結果、感度に差が見られたものの、諸条件の検討によって全HcRNAVの検出が期待できると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
赤潮原因渦鞭毛藻ヘテロカプサに感染するウイルスHcRNAVは本種の挙動に深く関わっており、その高い特異性と殺藻能から本種赤潮の防除ツールとして有用性が期待されている。現在、HcRNAVを含む天然海底泥散布による赤潮制御技術を現場で適用する方法を検討中である。その際、海底泥中に含まれるウイルス量や試験過程でのウイルスの効果を検証するには、簡易かつ迅速に定量する技術が不可欠である。そこで、特異性が高く、高感度、多数の試料を同時に処理できるという利点を持つリアルタイムPCRおよびELISA法によるウイルス定量系開発を試みた。24年度の計画は、ポリクローナル抗体を用いたELISA法によるウイルス定量系の確立であった。ウイルス回収法、バッファーや抗体濃度を検討し、従来法と定量値を比較することによって系を最適化した。今後、環境試料中の定量に適用するためにさらに特異性を上げる必要があるため、現場適用型に改変する予定である。さらに、リアルタイムPCRについては、3タイプのHcRNAVのゲノム情報から、2領域を対象にしたプライマーと蛍光プローブのセットを作製し、系を確立した。本定量系は、非常に特異性が高いため、25年度には、現場への応用が可能になることと期待される。 ELISA法やリアルタイムPCRを用いた環境中のウイルス定量については、ほとんど報告がない。これまでいくつか定量法があったが、ある宿主に感染するウイルス量に限定されることや夾雑物の影響など、全HcRNAVを正確に定量することは困難であった。本年度確立した非常に特異性の高いリアルタイムPCRは、夾雑物の多い海水および海底泥試料中の正確なHcRANV定量を可能にし、今後のHcRNAVを利用した赤潮防除対策の発展に大きく貢献するものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、ヘテロカプサ感染性ウイルスHcRNAV定量に向けて、ELISA法やリアルタイムPCR法の確立のため、さまざまな検討実験を行った。特に、リアルタイムPCR法では、2領域を対象とする非常に特異性の高い系の確立に成功し、環境試料中のHcRNAV量を正確に把握することが期待できる。25年度は、海水試料や海底泥からのHcRNAV回収試験や現場試料を用いたさまざまな検討試験を通して、定量技術を最適化する。また、ウイルスHcRNAVのフィルター処理、超遠心、RNA抽出、cDNA合成、などに伴う回収効率を検証し、安定したウイルス定量システムの構築を図る。 ELISAについても、今後、環境試料中の定量に適用するために、異なるサイトを認識する抗体の作製、それと現ポリクローナル抗体を利用して検出するサンドイッチ法を検討し、特異性の向上を図る。また、安定した持続的な現場環境への適用に向けてさらなる精度の向上やモノクローナル抗体による定量法を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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