2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580300
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 惠美子 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (40371851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大迫 一史 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (00452045)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | すり身 / 魚油 / 乳化 |
Research Abstract |
これまでに、担当者は、EPAやDHAなどの健康機能性に富む食品開発を目的として,魚油を豊富に含む魚肉すり身素材(乳化すり身)の製造と利用に関する研究を行ってきたが、その過程で,魚肉すり身に魚油(トリグリセリドタイプ)を乳化混合すると,凍結解凍により魚油が分離するが,ポリオール類を添加すると乳化状態が安定化し,魚油分離を防止した凍結保管が可能であること,またその効果は乳化混合する魚油量や,添加する糖類の濃度ならびに分子量に依存することを明らかにしてきた。 今年度は、本研究の目的の一つである「高濃度タンパク質系の乳化能、乳化安定性の評価方法構築の一環」として、水晒ししたすり身に精製魚油を25%添加混合した乳化すり身を調製し、これを凍結・解凍した際の乳化安定性に及ぼすポリオールの添加効果を目視による魚油分離の有無、濾紙吸着による離油量測定、光学顕微鏡による油球の分散状態の観察、油球サイズの粒度分布測定等の方法によって評価し、それぞれの乳化安定化効果評価指標としての有用性を検討した。その結果、今回の方法で調製した乳化すり身を凍結解凍すると、ポリオール添加量が一定濃度以下では魚油分離が認められることが目視で観察されたが、魚油分離の認められたポリオール濃度においては離油量、油球の分散状態、油球サイズの粒度分布測定のいずれの評価方法によっても、乳化状態が不安定になっていることが確認できた。すなわち、すり身乳化物に対するポリオール類の添加が,魚油分離のみならず微細化した油球サイズの安定化にも寄与することが確認されるとともに、今回用いた指標の、乳化すり身の安定性評価指標としての有用性が裏付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究の目的の一つである「高濃度タンパク質系の乳化能、乳化安定性の評価方法構築の一環」として、乳化すり身を凍結・解凍した際の乳化安定性に及ぼすポリオールの添加効果を数種の指標を用いて評価し、それぞれの乳化安定化効果評価指標としての有用性を検討することで、一定の成果が得られた。今後、より簡便に評価できる指標を検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は、本研究の申請時に設定した研究推進計画に従い、「魚油の微粒化が高い加熱ゲル形成能をもたらすメカニズムの解明に向けた検討」に取り組む。すなわち、魚油の微粒化が高い加熱ゲル形成能をもたらす効果についてはまだ明らかにされていないが、加熱ゲル化温度帯によって、得られるゲル形成能向上効果が異なっていることがこれまでの予備実験結果から明らかになっている。そこで、微粒化魚油を含むすり身を塩ずりし、これを種々の温度で加熱して得られたゲルについて、それぞれ尿素、SDS、2-メルカプトエタノールなどの各種の溶媒に対するタンパク質の溶解性と溶解画分のSDS-PAGE分析から、すり身中に含まれるタンパク質が脂質との混合系における加熱ゲル化においてどのような結合力を介して凝集しているのかを調べ、共有結合、SS結合、疎水性相互作用、水素結合等に対して介在する脂質の存在による影響があるか否かについて明らかにする。 さらに、魚油の微粒化はすり身の加熱ゲル形成能を向上させるばかりでなく、保水性・保油性も高め、圧搾しても加熱ゲル中の水や油がにじみ出しにくくなる現象も明らかとなっている。このため、魚油を乳化して調製したすり身加熱ゲルに含まれる水の安定性を、圧搾試験、DSC、NMR等の手法を用いて定量的に評価するための検討を行う。 26年度は、上記研究を引き続き行うとともに、「魚肉と魚油の混合利用において、これまで未解明の各種現象を定量的に評価するための研究」に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は設備備品の購入予定はなく、消耗品購入、学会参加のための旅費、論文投稿のための使用を予定している。
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Research Products
(2 results)