2014 Fiscal Year Annual Research Report
スサビノリ葉緑体タンパク質合成系の乾燥耐性メカニズム
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24580303
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山口 健一 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (90363473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 達也 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (60145307)
桑野 和可 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (60301363)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | LEA様タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、核コード型の葉緑体リボソームタンパク質の同定を進めるために、核ゲノムの概要配列から推定されている10,327個の遺伝子(コンティグの塩基配列)をデータベースとしたMS/MSイオンサーチによる探索を行ったが、緑色植物において見出されている核コード型の葉緑体特異的リボソームタンパク質は同定されなかった。また、好熱菌において報告のあるrRNA安定化タンパク質(Thx)様のタンパク質も同定されなかった。一方で、スサビノリの熱可溶性タンパク質の一種(PYP1と命名)のアミノ酸配列を決定し、新規なLEA様タンパク質があることを見出した。LEAは、植物の乾燥耐性や凍結耐性に関わる環境ストレス応答に重要なタンパク質である。PYP1は、植物由来のLEAとは配列相同性をもたないが、LEAと類似した物理化学的性質(熱可溶性で天然変性領域をもつタンパク質)をもつことから、その環境ストレス応答への関与が推察される。PYP1の機能は不明であるが、その前駆体は葉緑体移行シグナルと推定されるN-末端配列を有しており、葉緑体のストロマに蓄積している可能性が高い。また、PYP1とは別に、17-merと11-merの親水性モチーフの繰り返し配列を有する2種の新規LEA様タンパク質を見出していたが、今年度は、これらモチーフのコンセンサス配列に相当するペプチドを合成し、乳酸デヒドロゲナーゼに対する乾燥変性保護試験を行った。これまでに、17-merモチーフに乾燥変性保護作用があることを示唆するデータを得ている。以上のことから、スサビノリ葉緑体リボソームのタンパク質組成は、大腸菌のような常温菌リボソームに似た、シンプルなタンパク質組成のリボソームであり、リボソーム自体が乾燥や高温に対して耐性を有する可能性より、葉緑体ストロマ中に存在するLEA様タンパク質により保護されている可能性が高いものと推察した。
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Research Products
(4 results)