2013 Fiscal Year Research-status Report
ドコセン酸およびイコセン酸の高度利用技術の開発と栄養学的展開
Project/Area Number |
24580305
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
西川 正純 宮城大学, 食産業学部, 教授 (90404839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 佳久 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00282062)
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Keywords | サンマ / 魚油 / ドコセン酸 / イコセン酸 / 脂質代謝 / 栄養機能性食品 / 水産利用学 |
Research Abstract |
本研究は、北海道から関東の太平洋近海で安定的に水揚げされる「サンマ」の加工残渣から得られるサンマ油の有効利用を最終目標に、サンマ油に特徴的に含まれるモノエン酸類のドコセン酸やイコセン酸の高度精製技術の開発、さらに栄養学的意義を明らかにする ことで、新たな栄養機能性脂肪酸の実用化・産業化を最終目標としている。 本年度は、平成24年度確立した方法にで製造した精製サンマ油(ドコセン酸+イコセン酸45%)のII型糖尿病及び脂質代謝への影響についてkkAyII型糖尿病モデルマウスを用いて検討した。飼育期間は7週間とし、評価項目は、体重や組織重量の測定を始めとして、リアルタイムPCR法による糖代謝、脂質代謝関連の遺伝子発現定量解析、血糖値、インスリン負荷試験、トリグリセリド濃度、コレステロール濃度等の血液生化学的解析、ELISA法による血清中のサイトカインの濃度測定を実施した。 試験の結果、精製サンマ油はコントロールに比べ、体重の増加抑制傾向が認められた他、内情脂肪組織の精巣周囲脂肪、腸間膜脂肪、腎周囲脂肪に減少傾向が認められ、特に腸間膜脂肪は統計学的に有意に減少した。一方、各種遺伝子発現定量解析、並びに血糖値、インスリン負荷試験、血清中インスリン濃度については著明な変化は認められず、糖尿病に対する効果は本試験で確認できなかった。 以上より、ドコセン酸、イコセン酸を含む精製サンマ油は脂質代謝改善作用を有することが明らかとなった。今後、メカニズムの解明に取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、ドコセン酸、イコセン酸を高含有する精製サンマ油の栄養機能性について、II型糖尿病及び脂質代謝に対する効果をkkAyII型糖尿病モデルマウスを用いて検討した。結果として、ドコセン酸、イコセン酸を含む精製サンマ油は脂質代謝改善作用を有することが明らかとなった。一方、当初計画の精製サンマ油のトリグリセリド、ジグリセリドに結合するの脂肪酸結合位置(構造脂質組成)の解析については、平成24年度の検討でドコセン酸、イコセン酸、DHA等の有用な脂肪酸の高純度精製と十分な歩留りが実現できたことから実施しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は研究実施計画通り、高純度精製したドコセン酸やイコセン酸について、脂質代謝を中心に病態モデル動物試験を実施し、DHAやEPAの有無における栄養機能性の確認とメカニズム解析を実施する。さらに、サンマ油に含まれるドコセン酸やイコセン酸の含量、歩留まり等の再現性をベンチプラントスケールで精査し、産業化に目途を付け、事業化を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の試験実施が計画より若干遅延し新年度にまたがったことから、平成25年度の研究費に残余分が発生した。 ドコセン酸やイコセン酸の脂質代謝を中心に病態モデル動物試験におけるメカニズムの解明に使用する。
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