2014 Fiscal Year Research-status Report
ドコセン酸およびイコセン酸の高度利用技術の開発と栄養学的展開
Project/Area Number |
24580305
|
Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
西川 正純 宮城大学, 食産業学部, 教授 (90404839)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 佳久 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00282062)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | サンマ / 魚油 / ドコセン酸 / イコセン酸 / 抗肥満 / 栄養機能性食品 / 水産利用学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、北海道から関東の太平洋近海で安定的に水揚げされる「サンマ」の加工残渣から得られるサンマ油の有効利用を最終目標に、サンマ油に特徴的に含まれるモノエン酸類のドコセン酸やイコセン酸の高度精製技術の開発、さらに栄養学的意義を明らかにすることで、新たな栄養機能性脂肪酸の実用化・産業化を目指している。 本年度は、高度精製サンマ油(ドコセン酸+イコセン酸51%)の抗肥満作用に対する影響を食餌誘導性肥満モデルであるC57BL/6Jマウスを用いて検討した。飼育期間は6週間とし、コントロール群(CT群)、高脂肪食群(HF群)、1%イコセン酸・ドコセン酸濃縮油含有高脂肪食群(1%-HF群)、5%イコセン酸・ドコセン酸濃縮油含有高脂肪食群(5%-HF群)の4群を設定した。評価項目は摂食量や体重測定、各臓器や白色脂肪組織重量の測定、腹腔グルコース試験、各臓器の脂肪酸組成分析のほか、総コレステロール(TC)、トリグリセリド(TG)濃度等の血液生化学的解析、ELISA法による血清中や膵臓中、精巣囲脂肪中のサイトカインの濃度測定を行った。 試験の結果、本モデルでは、体重や各臓器、白色脂肪組織重量は、HF群、1%-HF群、5%-HF群の三群間に有意な差は認められなかった。血液生化学的解析では、1%-I、D-HF群においてHF群と比較して、血糖値やTC、TG濃度の減少傾向が確認された。また血清並びに精巣囲脂肪タンパク質中のインスリン濃度が1%-HF群、5%-HF群においてHF群と比較して減少した。血清中、精巣囲脂肪タンパク質中のアディポネクチン濃度が1%-HF群、5%-HF群においてHF群と比較して増加傾向にあることが確認された。 以上より、本モデルにおいてドコセン酸やイコセン酸の抗肥満作用を確認するまでには至らなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題については、当初の計画度通り、平成24年度はサンマ油に含まれるドコセン酸、イコセン酸の含有量向上等の高度精製技術をウィンタリング法とリパーゼ酵素法を用いて確立し、平成25年度は精製サンマ油を用いて、II型糖尿病及び脂質代謝に対する効果をkkAyII型糖尿病モデルマウスをお用いて検討した。さらに、平成26年度は抗肥満作用に対する影響を食餌誘導性肥満モデルのC57BL/6Jマウスを用いて検討した。成果として、ドコセン酸、イコセン酸を含む精製サンマ油の脂質代謝改善作用は確認できたが、抗肥満作用については明瞭な結果は得られなかった。また、サンマ油の高度精製技術についてはベンチプラントスケールで確立したものの、実用化が可能か否かの検証までには至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、課題となっているサンマ油の高度精製技術について実用化に向けた取り組みとして、ベンチプラントスケールでのドコセン酸、イコセン酸含量と歩留り等の向上条件を中心に進める。また、高度精製サンマ油の生理作用の確認として、抗肥満作用についての有無を明確にする。
|
Causes of Carryover |
平成26年度に、高度精製サンマ油(ドコセン酸+イコセン酸、51%)の抗肥満作用についてC57BL/6Jマウスを用いて実施したが、明瞭な作用が認められなかったことから、継続して高度精製サンマ油の効能効果について検討することとしたため。また高度精製技術の実用化に向けた詳細な検討を行うこととしたため次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、課題となっているサンマ油の高度精製技術について実用化に向けた取り組みとして、ベンチプラントスケールでのドコセン酸、イコセン酸含量と歩留り等の向上条件を中心に進める。また、高度精製サンマ油の生理作用の確認として、抗肥満作用についての有無を明確にする。
|