2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580309
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
宮本 勝城 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (40231625)
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Keywords | バイオマス / キチン分解細菌 / キチナーゼ |
Research Abstract |
グラム陰性海洋細菌Pseudoalteromonas piscicida O-7株は、キチン存在下において、4種類のキチナーゼ、3種類のN-アセチルグルコサミニダーゼおよび2種類のプロテアーゼを産生し、キチンをN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)にまで分解することを明らかにしている。最近、Illumina社のGenome Analyzerを用いて、O-7株のゲノム解析を行った結果、新たに2種類のキチナーゼ(ChiE、ChiF)およびN-アセチルグルコサミニダーゼ(GlcNAcase D)遺伝子が存在することを認めた。ChiEは、ChiAと相同性の高いファミリー18に属する触媒ドメイン、およびそのC末端側に2つのPKD領域と2つのキチン結合領域(ChtBD)を有する分子量95.6 kDaの前駆体タンパク質としてコードされていた。また、chiE遺伝子の19塩基上流域に、2つのChtBDを有するキチン結合タンパク質(Cbp2)をコードするORFが認められた。ChiFは、ファミリー19に属する触媒ドメイン、およびそのC末端側に機能未知領域とChtBD領域を有する分子量53.1 kDaの前駆体タンパク質としてコードされていた。GlcNAcase Dは、シグナルペプチドを有し、ファミリー20に属する触媒領域からなる分子量88.7 kDaの前駆体タンパク質としてコードされていた。次に、これら遺伝子の転写量について検討したところ、GlcNAc存在下でChiEおよびCbp2遺伝子発現量は2倍に、GlcNAcase D遺伝子発現量は30倍に増大した。さらに、ChiE、ChiF、Cbp2およびGlcNAcase Dのキチン分解系における役割を明らかにする目的で、それらタンパク質の高発現系を構築した。現在、それらタンパク質の生化学的および酵素学的諸性質について検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸菌BL21株に、Hisタグ融合タンパク質として発現する高発現系ベクターpProEX HTaにキチナーゼ(ChiE、ChiF)遺伝子を導入し、大腸菌BL21株を形質転換した。これらタンパク質は封入体として発現したため、6 M塩酸グアニジン存在下において、Hisタグ融合タンパク質をNi Sepharoseカラムクロマトグラフィーにより精製し、50 mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0) に対して透析することにより、可溶化タンパク質として回収した。基質として1%コロイダルキチンを用い、pH4~12、4~70℃の条件で60分間反応させた後、10,000 rpmで5分間遠心分離し、上清を回収して発色試薬(0.05%フェリシアン化カリウム含有0.5 M炭酸ナトリウム溶液)と混合し、波長420 nmにおける吸光度を測定することにより、ChiEおよびChiFの酵素活性を測定した。その結果、ChiEおよびChiFの至適pHはそれぞれ9.0および8.0であり、至適温度はいずれも40℃であった。また、コロイダルキチン、エチレングリコールキチンおよび粉末キチンを基質とした場合、ChiFは粉末キチンにおいて、ChiEと比較してより強い活性を示したことから、ChiFは不溶性基質を効率よく分解する可能性が示唆された。 GlcNAcase Dについても同様に高発現系を構築し、誘導後、20℃、16時間撹拌培養したところ、可溶化タンパクとして発現したため、Ni Sepharoseカラムクロマトグラフィーにより精製し、Hisタグを切断した。次に、酵素学的諸性質について検討した結果、GlcNAcase Dの至適温度は50℃、至適pHは6.0であった。今後、これらタンパク質のキチン分解機構における役割について、詳細に検討する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
先にも述べたとおり、キチン分解機構に関与すると思われる新規タンパク質の高発現系を構築し、可溶化タンパク質を得た。現在、これらタンパク質を用いて、生化学的あるいは酵素学的諸性質について検討しており、それらタンパク質の生理的役割について明らかにしていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
タンパク質電気泳動の際のサイズマーカーを発注したが、在庫がなく、大阪薬科大学内での科研費伝票〆に間に合わなかったので、平成26年度に発注することとした。 平成26年5月に発注し、SDS-PAGEに使用する。
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Research Products
(8 results)