2013 Fiscal Year Research-status Report
農業の6次産業化を促進する戦略的産業人材を育成するための教育プログラムの開発
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24580313
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
齋藤 潔 宇都宮大学, 農学部, 教授 (80202076)
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Keywords | 6次産業 / 農業教育 / 人材育成 / アクションラーニング / 国際情報交換 / アメリカ |
Research Abstract |
本研究は農業の6次産業化を促進する戦略的産業人材の育成を狙いとし、国内および国外の研究者、実務者と連携して、アクションラーニング原則をベースとした教育プログラムを開発し、その効果判定を行うことを内容としている。 研究2年目の中間年である平成25年度研究では、農業改良普及事業が取り組んできた農業指導における人材育成システムを歴史的な観点から評価するため、戦後の農業改良普及制度を検証し、その当時普及指導に携わった普及員へのインタビュー調査を繰り返し実施した。その調査を通じて明らかになったのは、人材育成システムに必要とされているビジネススキルが、歴史をさかのぼっても、その基礎要素は変わっていないこと、しかも指導原則としてのアクションラーニングがすでに現れていることにあった。 このようなラーニング原則を再確認し、平成25年度研究では栃木県の若手農業者を対象とした農業者人材育成セミナーを企画し、平成26年2月から3月にかけて、受講生12人を受け入れて宇都宮大学において実施した。セミナーは地元農業団体のコンサルタントと民間のビジネスファシリテーターを交えて全5回シリーズのカリキュラムを作成した。農業者人材育成セミナー自体は、すでに4年間の活動実績があるが、この取り組みを研究面で取りまとめ、平成26年度中に教材を開発し、その出版を企画している。 平成25年度研究では昨年度に引き続きスペインのスローフードと食育に関する現地調査をアメリカの研究チームと合同で実施した。日本とアメリカの教育プログラムを比較検討しながら、スペインの現場教育を対象として分析するという異なるフェーズを組み合わせた研究を進めるなかで、そこに新たな知見を見出し、本研究の推進においても斬新な方向性を定めることができた。平成26年度には、このような研究実績を取りまとめるための国際シンポジウムをイギリスで開催する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度研究は、本研究の2年目の中間年であり、前年の研究実績を踏まえて研究計画を立案した結果、この計画に基づいて順調に研究を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は本研究の最終年度にあたるため、研究取りまとめに向けた計画を立てている。国内では引き続き農業の6次産業化事例の調査を継続する。今年度の研究ポイントは、6次産業化と普及教育との関係性の解明である。既存の人材育成ステムが農業の6次産業化という多様性を増すビジネスフェーズにどのような効果を及ぼすことができたのか。その効果判定指標をいかに設定すべきか。このような視点からの研究は、政策主体である農林水産省からも注視されており、平成26年度には農林水産省内に「6次産業化の経営指標作成に関する調査研究委員会」が発足し、研究代表者斎藤は、そのメンバーとして研究成果をもとに政策提言する立場に就任した。研究成果を政策ベースで実現する方向を模索したい。 農業者人材育成セミナーについては、今年度も開催を企画している。これまで積み上げてきた実績をベースに開発してきた教育プログラムの改善を図るとともに、その成果を教材作成に結び付け、公刊することを企画している。 国外の研究分野では、これまで2年間継続的に取り組んできたスペインのスローフードと食育に関する実態調査の結果を取りまとめる。それを国外の研究者と議論しながら、ブラッシュアップを図るため、平成26年度はイギリスにおいて研究成果発表のシンポジウムを開催する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度研究では、スペインにおけるスローフードと食育に関する実態調査を行うため外国旅費を計上し、10月に現地調査を実施した。この外国旅費に関する経費精算が確定したのは平成26年2月であり、経費確定を待つ間、支出を予定していた経費を一部留保せざるをえず、結果的にその部分が翌年度に繰り越されることになった。平成26年度研究は4月からスタートできるため、支出繰り越しによる研究実施への影響はない。 平成26年度研究の経費使用は、イギリスでのセミナー開催のための外国旅費およびセミナー開催経費が主要な内訳となる。国内旅費では秋田県での農業の6次産業化事例調査と普及教育の実態調査を計上した。また、農業者人材育成セミナーの開催経費も見込んでいる。
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Research Products
(1 results)