2012 Fiscal Year Research-status Report
異業種ネットワークによる流域圏の環境再生活動と農山漁村の地域経済
Project/Area Number |
24580316
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
濱田 武士 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 准教授 (80345404)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 環境再生 / 流域 / 地域経済 |
Research Abstract |
今日,流域圏内にある森林組合,農協,漁協,河川漁協,市民団体,そして自治体などが連携して,流域圏の環境再生活動に取り組む事例が散見されるようになった。異業種の組織間のネットワークを形成して取り組む彼らの活動は上流域から下流域までの流域圏の環境保全を促す活動として注目されている。 その活動は,自然を利用して生業を成り立たせている農林漁業者らの視点に立つと,環境再生の意味を越え,地域再生・産業再生を図るための活動である。それゆえ研究課題として考えるべきは,環境再生活動が農山漁村の地域経済にどのような影響を及ぼすのか,となる。 本研究の目的は,流域圏内の環境再生活動と地域経済の関係を異業種のネットワークの態様から明らかにすることである。研究方法の柱は次の①~③とする。①河川流域を巡る自然と農林漁業など産業間の利害関係をモデル化すること。②環境再生活動の実態調査を通して異業種のネットワークの参加の論理を明確化すること。③異業種ネットワークへの参加の論理とその活動の態様を明確にし,そこから地域経済の発展の論理を探ること。 本年は①を実施した。調査結果によると、森林組合、農協、漁協、河川漁協、市民はその生業において河川を通してそれぞれが利害関係にあり、その関係は輻輳している。だが、それぞれは区切られた空間の中で存在していることから、直接的影響がはっきりとしない段階では問題性は見えてこない。水環境が目に見えて変化し、河川が痩せてくると、それぞれの生産力に悪影響を及ぼすので、その段階で利害関係が明確になる。今年度はその点は明確にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,流域圏内の環境再生活動と地域経済の関係を異業種のネットワークの態様から明らかにすることであるで、この課題遂行にあたり、認識として高めなければならない最大のテーマは異業種のセクター間の利害関係を明確にするところである。 本研究では1年目にしてその点が明確になったことから、概ね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、先に記した②「環境再生活動の実態調査を通して異業種のネットワークの参加の論理を明確化する」を遂行する。 このテーマについては、研究対象として取組を事例にそれぞれの参加者にどのような推進力が働いているのかを明確にする。ただし、「参加」をどのように問うのかという議論が必要である。この点については、他の研究者の研究事例などを踏まえて、方法論を明らかにしながら遂行する。次々年度に遂行予定の③の足固めをする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額として約29万円を繰り越した。本年度、予定していた調査の一部が大学業務などによって実施できなかったためである。次年度にその調査を実施することとし、繰り越した資金についてはその調査の旅費などに充てることにする。
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Research Products
(2 results)