2015 Fiscal Year Annual Research Report
食料高価格時代の米国穀物セクターの構造変化と農業政策の展開方向に関する研究
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24580324
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
磯田 宏 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00193392)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 食料高価格 / 穀物価格暴騰 / コーンエタノール / アグロフュエル / フードレジーム / アメリカ農業 / 穀作農業 |
Outline of Annual Research Achievements |
「食料高価格時代」を,「バイオ燃料」政策によるトウモロコシ需要構造激変をふまえつつ,農業・食料政治経済学の理論展開を深化させて,多国籍資本フードレジームの第2局面と歴史的に性格規定し,それは農業・食料関連資本と国際金融資本両分野の過剰蓄積の同時克服を企図するアグロフュエル・プロジェクトに起因することを明らかにした。 穀物関連アグリフードビジネスのうちアグロフュエル・プロジェクトの中心舞台となったエタノール産業について,それが急膨張期・バブル期とその後の利潤危機期の二回にわたって劇的な再編を遂げた,①多国籍穀物複合体型,②エタノール専業巨大ネットワーク型,③多国籍エネルギー複合体型,④コーンエタノール垂直統合体型という巨大4企業を頂点に有す構造になった,⑤農業生産者・住民所有型中小メーカーはシェアを落としが一定数が生き残っている,利益率,配当率,自己資本強度から①が高位安定的,③は原油価格に左右されて不安定,④は原料と製品の価格変動を吸収して相対的に安定,⑤は収益性が投機的であるほど不安定であること等を明らかにした。 穀作農業の構造変化については,北中部穀倉地帯全体およびアイオワ,ネブラスカ,南北ダコタの各州について統計・実態調査分析を行ない,(A)コーンベルトの北西漸が顕著化している,(B)それを担ったのは大規模経営であり,また穀物等価格暴騰が大規模化を促進したこと,(C)それら大規模経営は高価格を享受する寄生的利潤獲得型大規模家族経営である,(D)しかし地価暴騰,最新鋭機器高額化,作付方式単純化,精密農業における外部依存深化などによって要資本額の膨大化,世代継承困難化,農業経営自律性喪失などの矛盾をはらむことを解明した。 これらの主要部分を単著『アグロフュエル・ブーム下の米国エタノール産業と穀作農業の構造変化』(筑波書房,2016年3月)として刊行した。
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Research Products
(2 results)