2014 Fiscal Year Annual Research Report
頑強かつ効率的なフードシステムの構築に関する実証的研究
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24580325
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
川村 保 宮城大学, 食産業学部, 教授 (20177736)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | フードシステム / 食品流通 / 効率性 / 頑強性 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品の生産・加工・流通を一連のフードシステムとして把握した場合、平時には効率性が強く要求される一方で、自然災害等に見舞われた緊急時には困難な条件の中でもシステムが存続する頑強性が求められるというように、状況によって異なる二つの基準が求められる。その両立を可能にする仕組みを検討することを本研究の課題としている。東日本大震災から4年を経て、多くの報告書や文献が利用できるようになったので、それらの情報収集、整理・分析、またこの間に研究代表者が様々な機会に企業等から聞き取りを行った結果も併せて整理・分析することにより、この間のフードシステムの変化の特徴を検討した。その結果、効率性と頑強性の両立に関わるものとして、以下のような方向性が抽出された。 (1)生産の段階では、輸入品に依存することにより効率性を追求する動きと国産品への依存を強めることにより頑強性を追及する動きの両面がある。ミックスのあり方が検討課題となる。(2)加工食品の流通については、流通業界の寡占化の傾向とも関連しながら、物流の再編が進んでいる。物流センターの立地変更においては、効率性の向上と安定的な物流ルートの確保が両立する形で展開される。(3)生鮮食品の流通においては、流通ルート多様化の中で量販店と地場の生産者との連携が広がっている。通常は付加価値販売の視点で見られるが、ローカルなシステムを持つことは頑強性にもつながる。(4)備蓄が可能な米などについては、流通の各段階のみならず消費者のレベルでの備蓄も頑強性に役立つが、消費者レベルでの備蓄はあまり進展せず、課題が残っている。
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