2015 Fiscal Year Annual Research Report
東北水田地帯における田畑輪換作の現局面と農法変革に向けた条件に関する研究
Project/Area Number |
24580327
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 勝則 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80315605)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 毅 山形大学, 農学部, 教授 (60355261)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プラウ耕 / 地力維持 / 堆肥 / 耕畜連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、東北地域における大規模水田作経営のケーススタディから以下の示唆を得た。 第1に、水田における畑作物の作付は、米からの転作対応としての性格が残存しており、米の生産数量目標の配分面積及び助成金単価の水準によって作付面積が変動する。そのような中で作付順序が一定程度定着されている経営も見られるものの、まだ経営の経済的再生産過程の中に自然的再生産過程が内包されているとはいえず(=地力維持メカニズムを持たない)、農法変革の端緒として捉えることは難しい段階である。 第2に、地力を維持あるいは増進させながら、水稲作にも畑作にも対応できる土づくりを目指し、プラウ耕を導入している経営も見られる。その際、プラウ耕の実施時期が問題となる。一般的に春の雪解けから代かきまでの時期に実施されるが、天候が不安定で作業スケジュールがタイトとなりがちである。そこで秋の水稲収穫後、比較的降雨の少ない時期にプラウ耕を実施するケースもみられた。そのためには同時期に行われる米の乾燥調製の様式や手順、協業編成の変更が必要となるが、プラウ耕を導入するための一つのアイディアとして評価できる。 第3に、水田作経営に自然的再生産過程をビルトインさせるには、地力を維持・増進するための堆肥が必要となるが、それを近隣の畜産経営から調達している。海外との競争にさらされる中で飼養頭数の拡大を進めてきた畜産経営にとっても糞尿処理が経営課題となっており、水田作経営における農法変革(=自然的再生産過程の構築)は、畜産経営の存立にとっても必要になっている。
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