2014 Fiscal Year Annual Research Report
被災地産農産物の安全性に対する消費者評価の回復過程の解明
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24580330
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
竹下 広宣 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (00434100)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 被災地産農産物需要 / 放射性物質汚染 / 福島第一原発事故 / 政策評価 / 風評被害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、被験者を固定して調査を継続的に実施し、放射性物質汚染関連の政策が被災地産農産物に対する消費者評価の回復に及ぼす影響を評価することである。 一昨年と昨年に引き続き、Web調査を実施した。その中で、今回の調査では、福島第1原発事故の影響を受けた県産の食品を対象として実施されている放射性物質濃度のモニタリング調査結果を周知することで、消費者評価がどのように変更されるかを定量的に把握することを主たる課題とした。 Web調査被験者は、被災地である岩手県、福島県、千葉県、被災地近郊の東京都、神奈川県、被災地遠方の京都府、大阪府に在住の20代から50代の既婚女性である。このうち、継続とみなされる被験者数は2109人であった。 岩手県産、千葉県産、福島県産の原木しいたけを事例として得られた調査データを分析した結果、次のことが明らかになった。被験者のうち23.8%は、検査結果を知ることで、被災地産農産物(原木しいたけ)への購入意思を変更することがわかった。また、購入を控える被験者の割合の変動は検査結果周知前後で次のようになった。当該被験者割合は福島県産で39.0%から32.7%へと低下し、岩手県産で9.1%から9.5%へと増加し、千葉県産で6.3%から12.3%へと増加した。以上の結果、被災地産農産物に対する評価は、市場流通している放射性物質汚染の実態の一側面をとらえるモニタリング検査結果の周知により、より実態に即した方向にシフトすることを示唆するものである。
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