2013 Fiscal Year Research-status Report
グローカルアプローチによるアジア型循環フードシステムの成立条件と政策要件
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24580331
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
廣政 幸生 明治大学, 農学部, 教授 (00173295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 通太郎 明治大学, 農学部, 講師 (70402823)
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Keywords | フードシステム / 循環型農業 / 国際情報交換(韓国、台湾、ベルギー) / 消費者行動 |
Research Abstract |
アジア先進国における農業・農村についての共通する問題を把握し、今後の農業・農村政策のありかたをフードシステムの観点から検討することが課題である。①グローバル化の下でのローカルからの発想、②地域活性化と厚生向上、③食料自給率の構成、④地域循環型システム、⑤環境関連農産物への消費者行動、を分析の視点としている。 当該年度は、1)循環型フードシステムの理論分析を行った。これまで調査研究を進めてきた、各地の生物系廃棄物を利用した循環型システム(主として、遊佐町、長井市、旧藤島町)を結合生産物、生物系廃棄物の利用率、循環資源の投入による地域農業、その生産物の地域内または地域外の消費、から成る経済モデルを構築し、上記の視点で循環の社会経済分析を行った(論文として公表)。2)地域活性化の視点として、幸福度を取り上げ、経済指標に替わるものとの位置づけより、サーベイを行い、遊佐町と旧藤島町を対象に農村の幸福度の評価と分析を行い結果を取りまとめた、地域資源利用の有効性が地域住民の幸福度に繋がることが判明したが、他地域を含めた一般化は次年度に行う(学会報告)。3)韓国の研究協力者へヒアリング及び現地調査を行った。韓国はグローバル化が進み、農業政策の方向性は日本に示唆をあたえるという観点である。米消費の減退、循環型よりも親環境型に向かっている。国情の違いを反映させるモデルは次年度の課題である。4)EUの新しいCAPは今後のアジア先進国の農政を考える上で、重要である。ベルギーの研究協力者にヒアリングと現地調査を行い、グリーニングの導入経緯と影響予測、消費者の意向について資料収集を行った、分析は次年度になるが、環境と農村振興重視の方向性は本研究課題に参考となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に対し、研究は概ね順調に推移している。 1)アジア先進国(日本、台湾、韓国)のフードシステム上の特徴の把握は十分ではないが、FAOのデータと収集したデータにより次年度に分析をし、Asian Pass を明らかにする。2)農業政策上の課題となる類似点と相違点については、TPPに代表されるグローバル化の進展が早く、状況と対応の把握が十分ではないが、海外の研究協力者によって検討課題は明らかになりつつある。3)国内における循環型フードシステム、自給率向上型フードシステムのモデル化はほぼできた。さらに関連するステークホルダーの実態分析をすることで、より精緻化されたモデルとする。4)地域活性化の新しい指標として幸福度を検討した。遊佐町を対象とした分析により、成果が得られており、対象地域の拡大することで、より精緻な評価手法とする。5)農業・農村の共通課題を解決に導く、地域の仲介的なステークホルダーが重要であることが実態分析より判明した。6)EUのCAPはアジア先進国の農業政策が目指す方向である。CAP改革の情報は獲得できたが分析は十分ではない。今後の方向性としてサーベイ分析が課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる次年度について、実施計画に大幅な変更はないが、これまでの研究達成を鑑み、以下の点について変更を加える予定である。 国内調査に関して、消費者行動の調査として、環境こだわりに加え健康をキーワードとし実施するが、インターネットアンケートを加えることで、分析の強化を図りたい。幸福度のさらなる調査地として、天童市、鶴岡市、柳井市を予定している。また、循環型を基本として、前年度に引き続き行う調査地に加え、新たに情報等の仲介者(小売業、製造業)がステークホルダーとなっている地域を追加する。分析手法については、研究分担者、連携研究者と情報交換を密にしながら、検討し、課題達成に向け有効性のある手法の選択をする。海外について、調査が実施できない国については、海外の研究協力者による情報収集に努め、招聘も実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度繰越金が生じたのは、収集データの分析と調査に要する人件費が掛からなかったことにある。それは、前提となるデータ収集の旅費を多く使ったことと調査地が多方面に渡ることになり、研究代表者と分担者で対応できたことによる。 既に、繰越金の大半は年度末の海外調査で使用しており、実際は約10万円程度である。実際の繰越金は、海外(韓国、ベルギー)で収集した資料の翻訳の経費に充てる予定である。よって、次年度の研究費の使用は当初の使用計画に比べ大きな変更は無い。
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