2013 Fiscal Year Research-status Report
「転換点」後の中国農業の構造変化に関する実証的研究
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24580332
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
池上 彰英 明治大学, 農学部, 教授 (80339572)
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / 農業経済学 / 農業構造 |
Research Abstract |
中国は現在、労働過剰経済から労働不足経済への「転換点」を迎えている。本研究は、中国沿海部と内陸部の特定地域に的を絞った農村実態調査により、「転換点」後の中国農業の構造変化について明らかにすることを目的としている。また、具体的な調査研究課題として、小課題(1)農業生産の担い手の問題、(2)農地流動化の問題、(3)農産物流通の問題、(4)農村内部の経済格差の問題、を設定している。 平成25年度には、諸般の理由により予定していた現地調査を実施できなかったので、研究成果の中間的な取りまとめに力を入れた。研究代表者は「転換点」後の労賃上昇が中国農業の生産費を大幅に引き上げ、国際競争力を喪失させていること、その結果として農産物輸入が激増していることを明らかにした。中国における労働不足経済への転換は、工業部門においてのみ進行しているのではなく、農業部門においても進行しており、その結果として労働節約的な技術変化や、専業的農家の経営規模拡大も進んでいる。また、農業政策の面においては、2008年頃から強化された穀物等の価格支持政策に見直しの動きがあることを明らかにした。 平成25年度より連携研究者となった張馨元は、東北地区とくに吉林省におけるトウモロコシ流通に関する研究を進め、産地流通において国有穀物備蓄企業が最終的な買い手として君臨する一方、農家との関係では仲買商人が重要な役割を果たしていることを明らかにした。連携研究者の范為仁は、農地流動化に関する研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
内モンゴル自治区東部の通遼市において農村実態調査を実施する予定であったが、日中関係の改善がみられないこと、中国国内における少数民族問題が深刻化していること等の状況に鑑み、調査を断念せざるを得なかった。文献研究や連携研究者、研究協力者の独自調査等によって、研究の遅れを補っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、24年度に実施できなかった農村実態調査を実施する。また、研究の最終年度であるので、小課題ごとに研究成果の取りまとめを行う。小課題ごとに明らかになった変化の動向を、中国農業の構造変化として総合的、体系的に整理する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた現地調査を実施できなかったために、次年度使用額が生じた。 当該年度に予定していた現地調査を実施する。
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Research Products
(11 results)