2012 Fiscal Year Research-status Report
消費者間の相互作用を活用した贈答用果実のマーケティング方策の確立
Project/Area Number |
24580336
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
磯島 昭代 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター生産基盤研究領域, 主任研究員 (00355257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 啓哉 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター生産基盤研究領域, 主任研究員 (70355262)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 果樹作経営 / 販売管理対応 / プロモーション / 顧客拡大 / マーケティング実験 / おすそわけ / 贈答マーケティング / 被贈者 |
Research Abstract |
果樹作経営の販売対応については、リンゴ生産面積13.5ha規模の大規模経営、同2ha規模の中規模経営、同1.3ha規模で観光農園を経営の基軸におく経営というタイプの異なる3経営を対象に、注文対応、代金決済、物流選択、伝票作成、顧客管理、クレーム対応などの販売管理対応、およびプロモーションの方法について詳細な調査を行った。その1つ1つの項目について、各経営とも極めて多様な行動選択を行っていることが明らかになった。今後更に多数の経営の聞き取り調査、アンケート調査を実施するために、ポイントを整理していく。 「おすそわけ袋」のマーケティング実験については、「おすそわけ袋」を実際に宅配する段ボールの中にアンケート調査票とともに同梱してその評価および「おすそわけ」行為に関する意識をたずねる試験を実施した。対象は上述の3経営の顧客および被贈者である。各経営にそれぞれ1000部の調査票配布を依頼し、662名からの回答を得た。なお、大規模経営においては、「おすそわけ袋」をみて注文をしてきた新規顧客の存在が複数名確認されている。 一方、既に実施した盛岡りんご推進協議会参加農家の顧客及び被贈者を対象にした調査結果から、「おすそわけ」の実施者は9割に上るなど実施比率が高いこと、一人当たり2~4人の相手に3~5個程度の「おすそわけ」をしていることなど、「おすそわけ」に係わる消費者行動の実態が明らかになるとともに、「おすそわけ袋」の活用可能性が高いこと、「おすそわけ袋」が消費者の利便性を高めるとともに、「おすそわけ」するリンゴの価値を高めると捉える消費者が多いことなどが指摘された。これに対して、「おすそわけ袋」の大きさ、形状、枚数などについては検討の余地が残されることが指摘された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
果樹作経営の販売対応については、贈答品販売に積極的に取り組んでいるいくつかの果樹作経営を対象に、贈答品販売の経営戦略、販売戦略上の位置づけ、および販売管理手法の実態について調査した。贈答用果実に関する消費者行動については、リンゴ生産者の顧客及び被贈者を対象とした調査から、多くの消費者に「おすそわけ」行為の習慣があること、「おすそわけ」行為が新たな購買行動につながる可能性が高いことを明らかにした。贈答用果実のマーケティング手法については、「おすそわけ袋」を試験的に作成し、実際に宅配されるリンゴ箱に同梱することで、消費者の反応を調査した。いずれも当初の計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
果樹作経営における贈答品マーケティング手法の体系的な整理に向けて、更に多くの農家調査を行い、販売管理手法のエッセンスを析出したのち、贈答品販売の一般的動向及びそうした販売管理手法導入の可能性を検討する為の広域アンケートの実施を図る。また、販売管理手法の消費者に向けた有効性を明らかにする為に、顧客を対象にアンケート調査を実施していく。また、考案した「おすそわけ袋」など新たな販売管理手法については、地方自治体などと連携して農家モニターを募集し、その効果を検証していく。さらに、消費者の贈答および「おすそわけ」行為に関する消費者調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額20,092円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度の研究費と合わせて、研究計画遂行のために使用する。また、当初1経営体を予定していた「おすそわけ袋」の導入実験を3経営体に拡張したため、「おすそわけ袋」の制作費用として物品費が大幅に上昇したが、不足分は旅費等他の支出を抑制することで調整した。次年度も、本研究課題推進のために、複数の経営体に「おすそわけ袋」の導入実験を行う計画を立てており、物品費が交付申請時よりも高くなると考える。物品費上昇分については、旅費その他を課題遂行に支障が生じない範囲で抑制し、総額として申請時の計画どおり使用する予定である。
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Research Products
(5 results)