2013 Fiscal Year Research-status Report
消費者間の相互作用を活用した贈答用果実のマーケティング方策の確立
Project/Area Number |
24580336
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
磯島 昭代 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター生産基盤研究領域, 主任研究員 (00355257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 啓哉 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター生産基盤研究領域, 主任研究員 (70355262)
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Keywords | 果樹作経営 / 販売管理 / 顧客獲得 / 直売 / 贈答 / おすそわけ |
Research Abstract |
果樹作経営の贈答品販売の対応については、大規模リンゴ作経営のデータに基づきチャネル別の原価試算を行った結果、所得形成上、消費者への直売がもっとも重要であることを明らかにした。また、昨年度聞き取り調査をしたタイプの異なる3経営の販売管理・顧客獲得について分析した結果では、販売管理業務については注文対応、送り状作成、梱包、代金決済に関する課題と対応を明らかにした。顧客拡大については、新規顧客獲得の段階、顧客をリピーターとして定着させる段階、既存の顧客から顧客同士の社会関係によって新規の顧客を獲得していく段階という拡大過程を明示した。このように、消費者への直接販売に先進的に取り組むリンゴ作経営の販売管理業務および顧客獲得の課題と対応の特徴を明らかにした。さらに、贈答用リンゴの直接販売において特徴的な課題として、作業時期の集中の問題、請求書発行業務および顧客管理の煩雑さ、チラシの効果的な活用方法の検討などを提示した。 消費者の贈答果実に関する購買行動については、10名の消費者を対象に聞き取り調査を行い、食品の贈答行為と食情報の伝達に関する基礎的なデータを収集した。 消費者の「おすそわけ」行為を活用した新たな販売戦略および販売管理手法については、昨年度「おすそわけ袋」の配布実験に参加したリンゴ作経営に引き続き配布実験を依頼するとともに、新たなモニター農家を設定して、「おすそわけ袋」を契機とした新規顧客数の把握など、導入効果の計測を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンゴ作経営の販売対応については、前年度の聞き取り調査の結果を分析し、販売管理と顧客獲得方策に関する理論構築を行っている。消費者の購買行動については、個別面接調査を実施し、消費者の贈答意識や食情報の伝達に関する基礎的データの収集を行っている。贈答用果実のマーケティング手法については、「おすそわけ袋」の効果を測定するために新たなモニター農家を募り、配布実験を実施中。いずれも当初の計画通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
リンゴ作経営の販売対応については、より多くの生産者を対象としたアンケート調査を実施し、経営規模や直接販売の発展段階に応じた課題の対応策を明らかにする。消費者の贈答に関する購買行動についてはアンケート調査の結果から、消費者の相互作用が食行動に及ぼす影響について明らかにする。贈答用果実のマーケティング手法については、「おすそわけ袋」の効果を計測するとともに、様々な主体における導入の可能性について検証を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額68,741円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度の研究費と合わせて、研究計画遂行のために使用する。 販売対応についてはこれまでの調査で得られた論理の成立条件について確認するために多数調査を行う予定であり、調査票の印刷費、郵送費、関係機関との調査打ち合わせのための旅費等に使用する。また、「おすそわけ袋」の新たな活用可能性を探るために、多様な販売主体への導入を検討しており、当初1件の予定であった「おすそわけ袋」の導入実験を2件に増やす。不足する物品費については、次年度使用額からの補填と、旅費その他を課題遂行に支障が生じない範囲で抑制することで捻出する。
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