2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
花山 奨 山形大学, 農学部, 助教 (20282246)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水田 / 田面水 / 沖積土 / 藻類 / pH / リン溶出 |
Research Abstract |
水中からのリン回収技術の開発が進んでおり水田の田面水中に含まれるリンの回収が期待される.水田では日中藻類等の光合成によって田面水のpHが増加するため土壌から田面水へのリン溶出が予想される.本研究は慣行栽培の土壌から効率的にリンを溶出させるための条件を明らかにすることを目的とする.本年度は沖積土の水田土壌を用いて田面水のpHと土壌からのリン溶出の関係を調べた. 実験はポット水田を用いて人工気象器内で実施した.温度は25℃で一定とし,光条件は明時間を14時間(照度18klux),暗時間を10時間とした.土壌は風乾させ,その風乾土に100g当たりP2O510mgとなるようリン酸二水素カリウムを添加した.本研究では,上記のリン酸を添加した風乾土(初期pH=4.6)とそのリン酸を添加した風乾土に炭酸カルシウムおよび炭酸ナトリウムを添加した2種類の土壌(いずれも初期pH=5.6)の計3種類の土壌を実験に使用した. 結果は以下のとおりである.1)風乾土の場合の田面水のpHは9弱まで上昇したが,すぐに低下し,7から8の間を推移した.田面水の全リン濃度(TP)はpHの上昇に伴い約0.4mg/l増加し,pHの低下に伴いTPも減少した.2)炭酸カルシウムおよび炭酸ナトリウムを添加したいずれの土壌でも田面水のpHは9以上の状態を長く維持した.炭酸カルシウムを添加した土壌のTPは風乾土の場合とほぼ同じでpHの上昇によって約0.5mg/lの増加となった.一方,炭酸ナトリウムを添加した土壌のTPは約3.0mg/lまで増加した. 以上の結果から,土壌の酸度矯正による土壌微生物の活性がリン溶出に影響することが明らかとなった.また,土壌からのリン溶出量は土壌中のリン酸の形態によって変化する可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度は,沖積土と火山灰土の水田土壌を使って研究を進める予定であったが,沖積土の水田土壌のみで研究は終了した.これらの土壌に可分解性有機物を添加した場合のリン溶出に関する実験が予定通り進まなかったためである.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は火山灰土の水田土壌を中心に研究を進める.可分解性有機物の代わりに炭酸ナトリウム等のアルカリ資材を使って24年度に計画していた実験を行う.また,24年度において25年度に予定していた藻類の繁殖条件に関する研究について一部成果を得た.本年度はその成果をもとに藻類の繁殖条件に関する研究を進める.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に化学分析に研究費を充てる.また経費の一部を分析機器およびセンサーの更新に充てる.
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