2013 Fiscal Year Research-status Report
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24580346
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
花山 奨 山形大学, 農学部, 助教 (20282246)
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Keywords | 田面水 / リン / 藻類 / 対流 / 酸素消費 |
Research Abstract |
本年度は以下の2つの課題についてそれぞれ検討した. (1)藻類の種類が土壌からのリン溶出におよぼす影響 生育環境によって優先する藻類の種類は変化する.この変化が土壌からのリン溶出におよぼす影響について調べた.化学肥料による稲作をしている火山灰土壌と沖積土壌の水田表土を風乾させた土壌を使ったポット水田を人工気象器内(明時間は16時間(照度18klux),暗時間は8時間)に20日間静置し,田面水のDO,pH,全リン濃度(TP)の変化を測定した.その結果,沖積土壌では藻類は大量に繁殖しなかったが,火山灰土壌では土壌表面に窒素固定を行うラン藻類,アナベナが大量に繁殖した.このアナベナの繁殖によって田面水のpHは10まで上昇したが,田面水のTPの増加は見られなかった.アナベナの発生を抑制するため火山灰土壌に尿素を添加したところ,田面水中には糸状緑藻のホシミドロが繁殖し,田面水のpH上昇にともないTPも増加した.これらの結果から,リンの溶出は藻類の発生形態によって影響されることが明らかとなった. (2) 田面水の対流が藻類の酸素消費におよぼす影響 付着藻類の光合成および呼吸において田面水の対流による田面水中の二酸化炭素や酸素の土壌表面への供給は藻類の活動に影響するものと考えられる.そこで,従来の田面水の対流制御装置を改良して,土壌表面に付着する藻類の呼吸における対流の影響を調べた.結果は以下のとおりである.1)田面水の水面を冷却することで対流を制御できる装置を考案した.2)その装置を使った実験から,藻類の暗時の酸素消費は対流によって促進されることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度実施できなかった火山灰土の水田土壌を使って研究を進める中で,本年度に予定していた藻類の繁殖に関する生物・化学的および物理的環境条件を明らかにできたためである.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果をとおして藻類の生理生態がリン溶出に大きな影響をあたえることがわかった.そこで,最終年度は当初予定していた研究計画に加え,25年度に実施した藻類の繁殖条件の研究を拡大して,藻類の生理生態とリン溶出の関係についても研究を進める.
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