2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24580347
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
黒田 久雄 茨城大学, 農学部, 教授 (20205256)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 蓄積窒素 / 農業系 / 面源 / 窒素負荷 |
Research Abstract |
研究課題「農業系由来の蓄積窒素負荷に関する研究」として行っている。当初予定では、平成24年度は、以下の3つの課題を行う予定であった。①文献調査から、施肥と窒素汚染について蓄積窒素の観点から整理を行う、②過去に硝酸態窒素汚染の起こっていた箇所の調査を行い経年変化を調べる、③硝酸汚染地域での土壌ボーリング調査により、窒素汚染の経年変化を調べるの3点であった。 ①については、農業系面源汚染に関する文献調査を行った。特に霞ヶ浦流域を対象に行った。文献だけはわからに点については各種統計資料の収集を行った。これら文献と資料をとりまとめるに際して霞ヶ浦流域を対象に広域窒素フローモデルの作成を試みた。この広域窒素フローモデルから霞ヶ浦流域の蓄積窒素の影響を明らかにすることが可能であることがわかってきた。これは、第63回農業農村工学会関東支部大会で報告を行った。その後、モデルの入力値など精度をあげる対応をしているが、ほぼ完成形に近い形までもっていくことができた。 ②については、一カ所のみ調査地点の追跡結果を調査した。その結果現在の全窒素濃度は0.18mgL-1と過去に大きな問題となっていた箇所でも20年以上経過した場合、窒素汚染がなくなっていたことを明らかにした。 ③については、面源系汚染としてハウスのみしかない土地を、当初予定していた宍塚大池秋水域に見いだした。ボーリング調査の予備調査として、窒素汚染の拡散範囲を調べるため湧水調査を毎週行った。また、次年度に鉾田川流域でボーリング調査を行う計画を立てることを行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示したように、農業系由来の蓄積窒素負荷調査に関して3つの課題を行っている。 ①の文献調査と資料収集は特に順調にすすみ、その結果を霞ヶ浦流域を対象とした広域窒素フローモデルの作成という新しい切り口で整理することができるようになった。このモデルから、霞ヶ浦流域での過去数十年の変化を文献資料から明らかにし、霞ヶ浦水質汚染の実態をフローから要因を明らかにすることができるようになった。さらに入力値の精度をあげることで、モデルの信頼性を高めることができると考えられるまでになったのは大きな成果である。 ②の過去の調査との比較は、一カ所のみの調査となってしまったが、これは③の面源汚染源であるハウス栽培の影響調査を行ったためである。このハウスに関する調査により、宍塚大池集水域内に唯一存在するハウス栽培からの窒素流出影響範囲を調査することができた。今後研究期間終了までに、湧水調査、地下水調査などの水の流下課程を詳細に追うことでハウスの影響を明らかにできる。さらにハウス土壌をボーリング調査ができるようになれば、非常にクリアなデータが集積できる可能性がある。それはボーリング調査を計画している鉾田川流域では、複数の汚染源があるため、宍塚大池の調査地は面源汚染を調べるにはこれ以上にない好立地の場所である。 最後の鉾田川流域のボーリング調査は、当初非常に難航していた。しかし、調査計画が立てられるようになったので、次年度以降に結果を出せることが確実となった。この調査計画では、約10m程度の深さまで調べる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度以降の研究計画は、基本的に当初予定を大きく変更すること無く行うことができる。 平成25年度は、鉾田川流域のボーリング調査を行う予定である。これは、農業系由来の蓄積窒素の影響を明らかにするために、林地、荒れ地、畑地と土地利用を代えて行う。蓄積窒素を測定するために、深さ10mまでボーリングする予定でいる。しかし、地下水に到達した時点で蓄積窒素の影響が無くなってしまうために、10m以内の調査がほとんどになると思う。この調査を行い、各土層の蓄積窒素量や透水係数を求めることで窒素移動のメカニズムを明らかにすることができる。また、宍塚大池のハウス下の調査は、現在湧水調査によりハウスからの拡散する範囲を調べているが、平成25年度はハウスと湧水間の斜面に観測井を掘り、地下水の流動を調べる予定である。 広域窒素フローモデルの精度をあげるために、入力値に関する文献収集強化を行い、現在推定して求めている値を実測値に置き換えるなどして、平成25年度中に完成させる予定である。 これらのデータを元にして、蓄積窒素溶脱モデルの作成に取りかかり、最終年度までに完成させる予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、2,172円と、ほぼ予定通りの利用を行うことができた。 次年度の研究費の使用計画は、 消耗品としてボーリング調査の土壌分析、湧水調査の水質分析費用として薬品、ガラス器具、水質分析計の消耗品を主に利用する。 人件費・謝金はボーリング調査、土壌分析、水質分析に利用する。 旅費は、調査用のガソリン代、研究結果発表のために利用する。
|